宇宙航空研究開発機構(JAXA)のMAXIミッションチームは10月22日、国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」船外実験プラットフォームに設置された全天X線監視装置(MAXI)の観察により、新たなX線天体を10月17日(日)に発見したことを明らかにした。MAXIによるX線新星の発見は、2010年9月25日に発見された「MAXI J1659-152」に続き2個目となる。

同X線新星は「ケンタウルス座」に出現したもので、10月17日頃より明るくなりはじめ、新星が暗かったことから数日間かけて観測したデータを分析し、位置情報を10月20日の午後8時過ぎ(日本時間)に天文電報を通じて世界に速報した(ATel No.2959)。

同速報を受けて、米国航空宇宙局(NASA)のガンマ線バースト観測衛星「Swift」が緊急追跡観測を10月21日午前0時(日本時間)より実施。その結果、今までに知られていない明るいX線源であることを確認し、この天体は銀河系内の数万光年以上の遠方にある大質量星を伴星とする中性子星またはブラックホールである可能性が高いとの予測がなされた。

新たに発見されたX線天体「MAXI J1409-619」を中心とする半径10度の領域のX線画像。10月12日には見えていなかった天体が17日には明るく輝いているのが分かる(赤経14h09m2s、赤緯-61度57分)。右の画像は、Swift衛星による追跡観測で得られた、より詳細なX線画像。MAXIで観測した明るい部分(半径0.2度)の中に、これまで知られていない明るい新天体が見える

今回の発見により、MAXIは銀河系内の遥か遠方のX線新星を発見できる能力を世界に示したこととなり、MAXIチームではこの天体の正体を明らかにするため、Swift衛星と共同でより詳細な観測を進めているという。

なお、同新星は「MAXI J1409-619」と命名された。