大日本印刷(DNP)は、近距離無線通信規格である「NFC(Near Field Communication)」に対応した世界最小級のNFCモジュール「μMarida(マイクロマリダ)」を開発したことを発表した。2010年10月1日よりサンプル供給を開始する予定。

8mm角、厚さ1.6mmのサイズを実現したNFCモジュール「μMarida(マイクロマリダ)」

NFCは、FeliCa、Type A、Type Bなどの通信規格の異なる非接触ICカードと互換性があり、1つのリーダーライターで、これら複数の規格と通信が行えることが特長。

同モジュールは、円錐状のバンプ(導電性の突起物)を印刷し、層間接続を行う、同社独自のプリント基板製造技術「B2it」を活用し、モジュールを構成するICチップやコンデンサ、抵抗などの部品を薄型多層構造のプリント基板に内蔵したことにより、NFCモジュールとして既存製品と比べ表面積が半分以下となる世界最小クラスの8mm角、厚さ1.6mmの製品化を実現しつつ、複数の外部インタフェースに対応するなどの拡張性を確保することにも成功している。

ホストインタフェースはUART、I2C、SPIから選択が可能なほか、組み合わせるアンテナは機器の形状や用途に合わせて自由に設計が可能で、一般的にアンテナの読み取り特性の調整が難しいと言われているType BのICカードや小型のICタグについても、良好な読み取り性能を実現することが可能となっている。

なお、製品の販売開始は2011年春を予定しており、企業の機器のサイズや形状に合わせて通信用アンテナの設計・製造も行っていくほか、企業がターゲットとするICカードやICタグの仕様に合わせた読み取り性能の最適化と、評価テスト環境を提供することで、国内外のモバイル端末メーカーをはじめとしたさまざまなユーザーに向けて販促を行き、2011年度で10億円の売り上げを見込むとしている。