シャープは7月15日、ウォーターオーブン「ヘルシオ」の新製品として、AX-PX1、AX-GX1、AX-MX1の3機種を発表した。8月20日から発売する。価格はオープンプライスだが、4.3型ASVカラー液晶タッチパネルを採用した最上位機のAX-PX1が16万円前後、AX-GX1が11万円前後、容量26LタイプのAX-MX1が7万5,000円前後となっている。
最上位のAX-PX1に搭載した4.3型ASVカラー液晶タッチパネルは、従来製品に比べて画面サイズを35%拡大しており、「ヘルシオタッチ」機能の採用により、画面上を指で横にスライドさせることで、料理ブックのページをめくるように、自動メニューを選択することができる。また、自動メニューは新製品全機種に搭載しており、そこから各調理に最適な設定が可能になっている。
AX-PX1では293メニューを搭載、AX-GX1では136メニュー、AX-MX1では71メニューを搭載している。21種類のお弁当レシピから好きなおかずを自由に選び、複数メニューを同時に調理できる「お弁当セット」も採用している。
また、100度以上の過熱水蒸気による脱油、減塩、ビタミンC保存などの健康調理ができるほか、食材にあわせて70 - 95度の温度帯で蒸気をコントロールする「ソフト蒸し機能」を搭載。これにより、家庭では温度調整が難しい自家製ハムや温泉卵も手軽に調理できるという。「ソフト蒸し機能によって、鶏肉の柔らかさは、蒸し器に比べて、固さが30%減少し、口に広がる旨み成分量は約2倍に向上する。ヘルシオでは、加熱した際に、細胞破壊を抑え、柔らかな食感が実現できる」(シャープ 健康・環境システム事業本部 調理システム事業部 副事業部長 波頭真吾氏)という。
鳥のもも焼きでは、フライパンでの調理に比べて大幅に脂を落とすほか、塩鮭では焼き網での調理に比べて21.5%も塩分を減少。焼きかぼちゃでは、オーブン加熱に比べてビタミン残存率が1.8倍になったという。また、にんじんでは、レンジ加熱に比べて甘み成分量が約1.3倍に向上。細胞破壊を抑えて、自然の甘みを引き出すことができるという。「食に対しては、健康、自然志向、内食化という大きな流れがある。ヘルシオが持つ過熱水蒸気調理メカニズムによって、最初から最後まで水で焼くことで、こうした食の流れにあわせた提案が可能になる」とした。
新製品では、キッチンのトレンドカラーにあわせて、メタリックな輝きがあるステラホワイトをAX-PX1、AX-MX1に追加。全製品でレッドを用意し、AX-MX1ではシルバーも用意した。
シャープでは、ヘルシオの具体的な出荷数値については言及することは少ないが、2004年に初代ヘルシオのAX-HC1の発売以来、今年度中に100万台の累計出荷を見込んでいると波頭副事業部長は語る。昨年度末の累計出荷見通しを80万台としていたことから逆算すると、年間20万台規模の出荷が想定されていることになろう。波頭副事業部長は、「昨年は26Lタイプを追加したこともあり、順調な売れ行きをみせている。今度も厳しい状況が続くだろうが、さらに事業を拡大していきたい」と目論む。
ヘルシオは、26Lのコンパクトタイプを出荷してから、従来の中心購買層だった35歳から49歳の女性に加えて、20代の女性層や、男性の一人暮らし、単身赴任者などにもターゲットを広げることに成功している。
ヘルシオによる調理がおいしいことや、その調理方法が健康に適していることは、多くの人に知られているが、その一方で価格が高いのではないか、あるいは使い方が難しいのではないかという印象を払拭することがシャープにとっての課題となっている。
今回の製品では、初めてヘルシオを利用するユーザーのために、基本的な使い方や入門メニューの調理方法などを画面上で解説する「ヘルシオ教室機能」を採用。ヘルシオの代表メニューである「から揚げ(鶏もも肉)」では、下ごしらえの方法や、食材の並べ方まで写真でわかりやすく紹介している。これも新たなユーザー層を獲得するための仕掛けのひとつだといえる。
今後のヘルシオの事業に向けては、これまでヘルシオの価格は高いのではないかす、あるいは操作が難しいと思っていたユーザー層を、いかに取り込むことができるかにかかっているといえそうだ。