シャープは、LED電球「ELM(エルム)シリーズ」の新製品として、6機種を新たに発売する。
E17口金小型電球タイプとしては業界最高となる500lmの明るさをと96lm/Wの発光効率を実現した白昼色相当の「DL-JA51N」のほか、同じく小型電球タイプで電球色相当の「DL-JA42L」、ホテルやレストランなどの商業施設における利用などを想定したシャンデリア電球タイプの「DL-JC2BL」(電球色相当、クリアカバー)、「DL-JF2BL」(電球色相当、乳白カバー)。さらに、E26口金一般電球タイプの「DL-LA41N」(白昼色相当)、「DL-LA32L」(電球色相当)の6機種。価格はいずれもオープンプライスだが、E17口金タイプの4機種の市場想定価格は4,000円前後、E26口金タイプの2機種の市場想定価格は3,000円前後としている。いずれも、シャープ製の銭形タイプのLEDデバイスを採用している。
「E17口金タイプは、家庭内の照明が多灯化や光源の分散化によって着実に需要が増大しており、2010年には市場全体の29%、2012年には36%を占めると見られている。より明るく、より省エネ化を図るとともに、新たなカテゴリーとシャンデリア電球タイプを投入。光拡散レンズを使用することで、直進性の強いLEDの光を集光および拡散し、光が自然に広がるようにした。ホテルやレストランなどの商業施設では、高い場所にシャンテリアが設置されていることが多く、交換の際には足場を組むなどのコストがかかっていた。白熱電球からLED電球に交換するだけで、電球交換作業料を大幅に削減でき、ランニングコストの低減につながる。BtoB市場も積極的に開拓していきたい」(シャープ 健康・環境システム事業本部 LED照明事業推進センター商品企画部 副参事 立順仁氏)としている。 シャンデリア電球タイプでは、白熱電球用調光器での調光が可能となっている。また、E26口金一般電球タイプでは、ヒートシンクの製造方法を、金型鋳造(ダイキャスト)からプレス加工に変更。ヒートシンクのアルミの厚さを最大約92%削減するなど、従来モデルに比べて最大2分の1の軽量化を図っている。また、電球の根元をスリムにすることで、多様な照明器具に取り付けやすくなったという。「密閉型器具や密閉に近い器具でも使用できるようになっている」(立副参事)としている。出荷開始は2010年8月25日。6機種合計で月産25万個を計画している。
同社は、2009年8月に、LED電球としてE26口金の一般電球タイプ9機種を投入し、LED電球市場に参入。2010年2月および3月には、E17口金小型電球タイプ、E26口金ボール電球タイプとして4機種を追加して、全13機種をラインアップしていた。2010年6月末時点での累計生産台数は350万台に達しているという。「当社の事業ビジョンは、省エネ、創エネ機器を核とした環境・健康事業で世界に貢献すること。環境という観点では、LED照明は大きな柱のひとつ」と位置づける。
シャープによると、全世界の照明市場の規模は、2009年には9兆5,980億円だったものが、2010年度には前年比16.4%増の11兆1,760億円の規模が見込まれる。そのうち、LED照明の市場規模は全体の20.9%の234億円となり、2009年度の46億円から5倍規模に成長している。これは日本でも同様で、2010年度の照明市場が9.5%増の98億円であるのに対して、LED照明は、前年比4倍の22億円となり、市場構成比も前年の6.2%から、22.7%に急拡大している。
販売台数ベースでは、2009年には500万個、構成比が4%だったものが、2010年には2,000万個、14%の構成比となり、2012年には4,700万個に達し、市場構成比も36%と3分の1以上を占めるものと予想されている。
GfKジャパンの調べによると、2010年6月における家電量販店でのLED電球の販売構成比は、台数で18.7%だが、金額では62.5%を占めたという。
「夏のボーナスで購入したいものとしては、ブルーレイディスクレコーダー、地デジ対応テレビに続いて、LED電球が3番目に入っている。また、改正エコポイントではLED電球の必要交換ポイントが従来の半分になり、量販店では白熱電球の下取りキャンペーンを行う例も出ている。こうしたこともLED電球普及の追い風になっている」(シャープ 健康・環境システム事業本部 副本部長兼LED照明事業推進センター所長 大塚尚孝氏)とした。
同社では、LEDデバイスからモジュール、商品までの一貫設計、開発が可能な強みを生かしながら、電球のラインアップ拡大、業務用照明事業の拡大、2010年夏以降の米国市場への参入をはじめとする海外展開、眠りにつきやすい最適な色などを追求する健康照明といった切り口からLED照明事業を拡大していく考えを示している。
「海外展開については、すでに米国で試験販売を開始している。この成果をもとに米国市場への本格展開のほか、欧州やASEAN、中国への展開も検討していきたい」(大塚氏)とした。