村田製作所はワイヤレスで電力を供給できる電界結合方式の電力伝送システム「LXWSシリーズ」を開発したことを発表した。同システムを用いると、電源コードなどを介さずとも、充電台に機器を置くだけで充電することが可能となる。

電界結合型ワイヤレス電力伝送システムの送電イメージと受/送電モジュール

近年、モバイル機器の普及に伴い、ワイヤレス電力伝送システムの開発が行われているが、開発事例の多い電磁誘導方式では、充電ポイントから少しずれると充電できなくなるという課題があった。そのため、同社では、電界結合型のワイヤレス電力伝送技術を持つTMMSの技術を用いて、ワイヤレス電力伝送システムをTMMSと共同で開発。充電ポイントを気にせず、充電を行うことを可能とした。

同システムは、TMMSの電力伝送技術に同社の回路設計技術を加え、さらに電極構造を工夫したことで、位置自由度が高く、かつ高効率のワイヤレス電力伝送を実現した。また、1つの充電台で複数種の電子機器への充電が可能なほか、独自の安全制御方法を採用することで、信頼性の高いシステムを実現することに成功している。さらに、伝送部の発熱が少ないため、機器への影響を軽減できるほか、位置自由度が高いため、動くものにも充電が可能となっている。

加えて、電力伝送のインタフェースとなる電極部を薄く形成できるため、機器への組み込みが容易、かつ充電台の素材としては、透明、フレキシブルな樹脂などさまざまな材質を利用することができ、高いデザイン性を実現することができる。

伝送電力は1~10W、伝送効率はワイヤレス伝送部のみで90%以上を達成している。外形寸法は送電モジュールが 50mm×25mm×10mm(3W品でのターゲットサイズ)で、受電モジュールが10mm×10mm×1.5 mm(3W品でのターゲットサイズ)となっている。

サンプルについては個別対応としており、量産ターゲット価格は送、受電モジュール合わせて980円(月産10万個受注時)。2010年秋量産開始を目標としており、月産1万台から開始する予定。