東京 表参道の期間限定ギャラリー「station 5」にて、「世界タナカ・デー」と名付けられたイベントが開催された。司会進行はピクルス代表 タナカミノル氏。イベントには、漫画家/映像作家のタナカカツキ氏と、Flashクリエイター 勅使河原一雅氏が登場した。また、アドビ システムズからは製品担当の古田正剛氏が参加した。
司会担当のタナカミノル氏は、Flashクリエイターとしても知られている |
タナカカツキ氏は、「After Effects CS5」で作った作品を披露 |
勅使河原一雅氏は「Photoshop CS5」の新機能を使ったデモを行なった |
「Premiere Pro」と「After Effects」の魅力とは
アドビ システムズ 古田氏は、「Premiere Pro」と「After Effects」の違いについて語った。「前者は映像素材を横に繋いでいくツール、後者は映像を縦に合成して作り込んでいくツール」と用途の違いを紹介。そして「After Effects CS5」で加わった強力な機能「ロトブラシ」のデモンストレーションを行った。これは映像内に映っている人物を自動的にマスクする機能。古田氏がロトブラシを使って映像内の人物をなぞると、アッという間にマスクが作成される。タナカカツキ氏は「とてもいい機能。エッジの調整もできるからブルーバックもグリーンバックも必要ないのでは? 僕は過去に3m×7mの布を買ったんですよ。高かったのに……」と話す。しかし古田氏は、「女性の髪などフワッとした被写体は抜きにくいので、まだグリーンバックは必要です」とスタジオ撮影の必要性も示した。
単なる幼稚園の映像がタナカカツキの手で斬新な合成作品に
古田氏のデモが終わると、タナカカツキ氏がAfter Effects CS5を使って作成した作品を披露した。今回使用した素材は、自分の子供が通っている幼稚園の映像。特別な機材は使用しておらず、一般的なハンディーカメラで撮影したものとのこと。まず最初に、暗い室内で撮影した映像をロトブラシで切り抜いたデモ。元の素材はコントラストが低くて人物の輪郭を視認できないほどの映像だったが、ロトブラシは、これを見事に切り抜いた。タナカ氏は、「この機能は本当に使える。なにげなく撮った映像でもちゃんと切り抜いてくれる」と新機能の印象を語った。続いて披露されたのは、幼稚園の運動会の映像を使ったデモ。人工芝のグランドで、園児たちが玉入れの競技をしている。タナカカツキ氏は、「『ロトブラシ』もいいけど、『After Effects』には以前から似たような機能がある」と語り、「キーイング」を使ったアプローチ方法を紹介した。まずは、人工芝の緑を茶色に変えて、土のグランドのように加工。さらに、この映像にサイケデリックな背景を合成した。さらに素材を複製し、立体的に見せるユニークな作品も披露。
「Photoshop CS5」の「コンテンツに応じる」を活用
タナカカツキ氏に続いて勅使河原氏のデモンストレーション。勅使河原氏は「Flash」を使った作品を世に送り出している人物だが、今回は「Photoshop CS5」の「塗りつぶし(コンテンツに応じる)」に魅力を感じ、デモを行なうことにしたという。勅使河原氏はダビンチやムンクなどの有名絵画の一部を範囲選択し、塗りつぶしを使って加工した。この機能は結果がランダムなので、納得がいかない場合は何度もやり直すといい結果になることもあるそうだ。会場では塗りつぶしを30回以上も繰り返した画像を披露。勅使河原氏は「この機能は結果を見るまでわからないのがいい。まるでコンピューターが人間のように、なにかを考えて作業をしているかのようだ」と語る。また、「コンテンツに応じる」というネーミングにも好意的だ。勅使河原氏は「画像編集におけるコンテンツとは、画像内に表示されている『なにか』のこと。それをユーザーが選び、あとはコンピューターが仕事をする。意図していない結果が帰ってくるところが楽しい」とコメントした。
さらに勅使河原氏は、アドビが提唱する塗りつぶし(コンテンツに応じる)の使い方とは真逆の用途に使った。写真内のある一部を消すのではなく、画像内に写った人物以外の背景を塗りつぶしたのだ。結果は、人物が画面いっぱいに複製され、まるで意図的に作ったアート作品のような画像ができあがった。司会のタナカミノル氏はこのデモを見て、「この使い方はおもしろい。デモを見て興奮した。ユーザーのみなさんにもやってほしい」と、Photoshop CS5のユニークな使い方に感銘を受けていた。
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