矢野経済研究所は6月2日、2010年2月から5月にかけて、国内デジタルサイネージシステムベンダー、運営企業、コンテンツ制作企業、広告代理店など28社を対象に実施したデジタルサイネージ市場に関する調査結果を発表した。

同調査では、電子POPから大型ビジョンまでの市場を広義のデジタルサイネージ、主に薄型ディスプレイを表示機器とする市場を狭義のデジタルサイネージと定義している。

同発表によると、2009年度の国内デジタルサイネージ市場規模は前年度比100.8%の557億800万円となった。販促ツールや広告媒体、情報共有ツールとして注目を集めている狭義のデジタルサイネージ市場規模は、前年度比104.8%の343億6,000万円だった。同社は、狭義のデジタルサイネージでは認知度の向上もあり、参入ベンダーへの問い合わせ件数は増加したが、市場規模の拡大にはつながらなかったとしている。

2010年度については、「大手コンビニエンスストアの導入」「鉄道系デジタルサイネージの増設」といったロケーションの拡充、低価格帯のデジタルサイネージ(スタンドアロン型やASP/SaaS型)の普及により、全体で前年度比114.2%の635億9,800万円、狭義の市場で同112.6%の387億円になると予測されている。

さらに、2014年度には1,000億円を超え、2015年度には1,300億円に迫ると予測されている。特に狭義のデジタルサイネージは、中央省庁が通信政策の見直しを行うなかでデジタルサイネージ市場の活性化にも積極的に取り組んでおり、2015年度には約3倍の946億円になると、同社では見ている。

デジタルサイネージ市場規模推移 資料:矢野経済研究所

分野別狭義のデジタルサイネージ市場の推移 資料:矢野経済研究所