日立製作所は、光ディスクの大容量化に対応したデータ記録再生の速度を向上させる 「位相多値記録再生方式」を考案、データ再生方式の原理検証実験に成功したことを発表した。

開発された同方式は、光の干渉縞を記録するマイクロホログラム方式を用いることで、光の位相情報を同時に記録、加えて記録情報に応じて光の位相を変調させることによって、多値記録を行えることをシミュレーションによって見出した。

また、位相情報をもった干渉縞はレーザー光を用いて読み出すが、あらかじめレーザー光源から出た光を2系統に分け、一方をディスクに照射し反射させ、もう一方のレーザー光を参照光として反射した光と干渉させて、位相情報を読み出す、独自開発の光の干渉を利用して検出信号を増幅する「ホモダイン検出技術」を応用した方法を採用した。

これらの技術を用いて再生方式の原理検証を行うために、実験システムを構築、読み出しの際に光ディスクから得られる反射信号を疑似的に生成し、これを用いて多値信号の検出を行ったところ、位相差がわずかな信号を、位相8値信号として検出することが確認されたという。

今回の成果は、光ディスクの大容量化とデータ転送速度の高速化を同時に実現する多値記録の可能性を示すものであり、今後、技術開発を推進していくことで、32値の多値記録まで拡張することができれば、現行Blu-ray Discの数10倍の記録容量と、10倍の転送速度性能をもつ光ディスクの実現が可能になるとしており、実用化を目指すとしている。