マイクロソフトは5月19日、「Microsoft SQL Server 2008 R2」に関する品質検証活動、および品質向上の取り組みについて発表した。

発表会は、同社の検証センターである「大手町テクノロジーセンター」にて実施。検証活動を共に行ったNEC、日本ユニシス、富士通の3社のパートナーも交えて取り組みの内容を紹介した。

SQL Server 2008 R2の検証作業が行われた大手町テクノジーセンター。検証作業は、デバッグ用のコードなどが組み込まれたCTP(Community Technology Preview)版を使用して実施。シナリオの立案も含めると、検証期間は約半年に及ぶという

SQL Server 2008 R2における品質向上の取り組みは、3つの側面から行われているという。

1つ目は製品自体の品質を向上させる「製品クオリティ」、2つ目は製品展開(SI)の品質を向上させる「展開クオリティ」、3つ目は製品出荷後の問題を品質を向上させる「製品維持クオリティ」だ。

これらのうち、今回焦点を当てられたのは2つ目の展開クオリティの部分。マイクロソフトでは、「ユーザー企業の視点では、データベース製品単体の品質よりも、システム全体の品質が問題になる」(マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 エグゼクティブ プロダクト マネージャー 齋藤泰行氏)という認識の下、機能ベースのボトムアップ型だけでなく、実際のSIプロジェクトを想定した作業の中での検証も重視。SIパートナーとともにさまざまなシナリオを考え、実際に導入/運用を行いながら作業を進めたという。

また、今回の活動における大きな特徴は、マイクロソフトのWebサイトにて検証結果を技術資料として公開する点。SIノウハウを共有することで展開クオリティを向上を図ろうというねらいで、この取り組みは「Center of Quqality Innovation(CQI)」と呼ばれている。

今回発表会に参加した3社の主なシナリオは以下のとおり。

NEC、日本ユニシス、富士通の検証シナリオ

NECでは、「Microsoft SQL Server Fast Track Data Warehouse」や「Microsoft SQL Server 2008 R2 PowerPivot for Excel 2010」を使った中小企業向けのBIソリューションを中心に検証。1億件にもおよぶデータをExcelに取り込み、問題なく分析できることを確認した。

日本ユニシスは、新機能「マルチサーバー管理」機能などを試し、「Microsoft Windows Server 2008 R2」とSQL Server 2008 R2の標準機能により、大規模の基幹システムでも十分有効であることを確かめたという。

富士通では、仮想化技術(Hyper-V)を活用したサーバー集約というテーマで検証を行い、HDDイメージ展開やマルチサーバー管理なども実施している。

NEC 第三ITソフトウェア事業部 グループマネージャの白石雅己氏

日本ユニシス 共通利用技術部 データ利用技術室 データベース適用グループ グループリーダの高橋恭之氏

富士通 プラットフォーム技術本部 ISVセンター MSミドルウェア技術センター長 荒山一彦氏

なお、3社はSQL Server 2008 R2のメリットについて、「コストと機能のバランスが優れている」とコメント。そのため、「予算に限りのある中小企業向けソリューションでも有効」(富士通)であるうえ、「最近のバージョンでは、TB級のデータを持つ大規模システムでも十分に対応できるようになった」(日本ユニシス)と言い、とりわけコスト削減という用途では幅広い領域で効果を発揮するとの認識を示した。