日本アイ・ビー・エムは5月19日、米IBMが世界の主要企業のCEOを中心に行った調査「IBM Global CEO Study 2010」の結果を発表した。同調査では、「自社に影響を与える外部要因」、「新たな経済環境に対する認識」、「ビジネスモデルの改革への取り組み」などについて聞いている。

同調査は2004年の調査開始以来2年ごとに実施されており、今回は第4回目となる。60ヵ国、1,500名以上(うち日本からは171名)のCEOが今回の調査に参加した。

今回の調査のテーマは「経済環境の複雑さへの対応」で、同社は「複雑さを武器とする経営」を実現するための策を提示している。

世界全体で見た場合、「自社に最も影響を与える外部要因」として回答が多かったのは、上から「市場の変化(56%)」、「技術革新(39%)」、「マクロ経済要因(38%)」だ。これに対し、日本のCEOの回答は「市場の変化(78%)」、「グローバル化(41%)」、「技術革新(40%)」となっている。

この回答は北米・EU地域・中国・日本で分類されているが、ベスト3にグローバル化を入れているのは、日本のCEOだけだ。

また、現在の経済環境が複雑だと回答したCEOの割合は60%、今後5年間で複雑性が増すと回答したCEOの割合は79%となっている。これにより、同社は「CEOが今後の経済環境についてますます複雑になると予想していることがわかった」としている。

一方、自社が今後の複雑性に対応する準備ができていると回答したCEOの割合は49%であり、複雑化が見込まれる経済環境への対応が十分ではないと推察される。

さらに、74%のCEOが今後5年間に「成熟市場から新興市場へのシフト」が自社に影響を与えると回答しており、同社は「日本のCEOが世界で最も新興国市場開拓に関心を寄せている」と分析している。

日本のCEOの声 資料:IBM Global CEO Study 2010

日本のCEOはこの事業機会を獲得するために、ビジネスモデルレベルでのイノベーションが必要と考えており、収益モデルの変革や外部とのコラボレーションの強化に取り組むと回答している。

同社は、金融危機後も持続的成長を遂げている「好業績企業」の特徴から、企業が経済環境の複雑化を武器にするための策として、「創造性を新たなリーダーシップの要件とすること」、「顧客との新たな関係を構築すること」、「巧みなオペレーションを確立すること」の3点を挙げている。

企業が経済環境の複雑さを武器にするための3つの策