日本ヒューレット・パッカードは3月9日、1台のPCを最大10ユーザーで同時利用できる新ソリューション「HP MultiSeat Computing」を発表した。
同ソリューションは専用ホストPC「HP MultiSeat ms6000 Desktop」と専用アクセスデバイス「HP MultiSeat t100 Thin Client」によって構成される。専用ホストPCのOSには、マイクロソフトが開発したWindows Server 2008 R2ベースの「Windows MultiPoint Server 2010」を採用。同OSでは、Windows Server 2008 R2のリモートデスクトップサービスを応用し、複数ユーザーのデスクトップ環境を実行/管理している。なお、デスクトップ環境のGUIはWindows 7と同じものになる。
専用アクセスデバイスは、W338mm×D379mm×H100mmの片手に収まる筐体に、モニタ(VGA)、マウス(PS/2)、キーボード(PS/2)を接続するための端子と、マイク入力およびヘッドフォン出力用の端子が用意されているだけのシンプルなもの。専用ホストとはUSBにより接続する。電力はUSBケーブル経由でホストPCから供給するかたちで、電源ユニットも冷却ファンも搭載していない省電力設計になっている。
同ソリューションは、主に小中学校のPC教室での導入を想定しており、1人1台PCを用意する場合に比べると、約半分のコストで済むという。また、従来に比べPCの台数が大幅に減るため、消費電力は約80%も削減される。さらに、環境構築もUSB接続によるプラグアンドプレイで行えるため、現場の教師でも対応が可能だ。
日本ヒューレット・パッカード パーソナルシステム事業統括 クライアントソリューション本部長の九嶋俊一氏は、国内小中学校の教育費が生徒一人当たり平均100万円という数字を紹介したうえで、「限られた予算の中で教育を行わなければならない中、従来と同じ費用で2倍の端末を用意できることの意義は大きい。ITリテラシーが、文字の読み書きと同じレベルで必要になるこれからの世代に対しては、こうしたソリューションによりできる限り多くの子供たちにPC環境を提供していく必要がある」と説明。そのうえで、PC教室はもちろん、図書室の図書検索端末でも有効であることを紹介した。
HP MultiSeat ms6000 Desktopは、EssentialとExtendedの2モデルで、それぞれにおいてMultiPoint Server 2010をプレインストールしたものと、していないものの2バージョンが用意されている。主な仕様と価格、販売開始日は以下のとおり。
モデル名 | ハードウェア仕様 | 価格 | 販売開始日 | 備考 |
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ms6000 Essential/MultiPoint | インテル Q43 Expressチップセット、インテルCore 2 Duo E7500、2GB DDR3メモリー、320GB HDD、DVDスーパーマルチドライブ | 92,400円 | 3月11日 | 最大同時利用の目安は5ユーザー。MultiPoint OS込 |
ms6000 Essential/FreeDOS | 71,400円 | 3月11日 | 最大同時利用の目安は5ユーザー。別途Academic Volume Licenseが必要 | |
ms6000 Extended/MultiPoint | インテル Q43 Expressチップセット、インテルCore 2 Quad Q9400、6GB DDR3メモリー、500GB HDD、DVDスーパーマルチドライブ | 113,400円 | 3月11日 | 最大同時利用の目安は10ユーザー。MultiPoint OS込 |
ms6000 Extended/FreeDOS | 92,400円 | 3月11日 | 最大同時利用の目安は10ユーザー。別途Academic Volume Licenseが必要 |
また、HP MultiSeat t100 Thin Clientの仕様と価格、販売開始日は以下のとおり。
モデル名 | ハードウェア仕様 | 価格 | 販売開始日 | 備考 |
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t100 w/CAL | PS/2端子×2(キーボード+マウス)、VGA端子(Dsub)×1、ヘッドフォン/ラインアウト端子×1、マイクイン端子×1、W111×D65×H28(mm) | 12,600円 | 3月11日 | Microsoft Client Access License込 |
t100 for Academic VL | 7,035円 | 3月11日 | 別途Academic Volume Licenseが必要 |
なお、Windows MultiPoint Server 2010のライセンス体系は以下のスライドのようになっている。