2月3日より5日まで行われた印刷メディア展示会、PAGE2010。各社の出展については「『PAGE2010』-- 注目各社による今年の動向を総まとめ」のレポートを参照されたい。同レポートに引き続き、今回のPAGE2010で注目のハードウェア3製品(モニタ、インクジェットプリンタ、カラーオンデマンドプリンタ)を紹介していきたい。第1回は、ナナオのキャリブレーション対応、センサー内蔵モニタを紹介しよう。

ナナオ セルフキャリブレーション対応、センサー内蔵24.1型ColorEdge CG245W

モニタ本体部分はColorEdge CG243Wと同様だ。Adobe RGBカバー率98%の広視野角のIPSパネルを採用している。これまでColorEdgeの24型は、CG241WとCG242Wまではサムスン製のVAパネルだったが、昨年夏に発売されたCG243Wとこのセンサー内蔵24.1型はLG製IPSパネルに変更された。三菱製IPSのCG221、日立製IPSのCG211に比べて見劣りする部分はあるものの、VAパネルよりも色度変位が少ないIPSパネルを採用したことは大きく評価できる。

入力端子にDisplayPortを備え、Adobe Photoshop CS4とATI FireProなど10bit対応グラフィックスボードを使った10bit表示に対応。また、電源オンからより短時間で輝度を安定させ、設定輝度に近づけるなどの機能をもつ輝度・色度安定回路を搭載している。

PAGE2010で参考出品されたColorEdge CG245W。4月9日発売予定。価格はオープンでEIZOダイレクト販売価格は20万9790円

写真はColorEdge CG245Wの入力系統

次にCG243Wと異なる特徴だが、以下の4つが上げられる。
1、キャリブレーションセンサーを内蔵。モニタが自動で定期的にキャリブレーションを実行するセルフキャリブレーションにも対応
2、調整範囲の広いフレックススタンドを採用
3、縦回転時にも遮光フードが利用できる
4、暗所でもボタンの表紙内容を確認しやすいLEDフロントボタンを採用

キャリブレーションセンサー

まずキャリブレーションセンサーだが、未使用時はモニタ上部ベゼルに格納されていて、使用時にはスイングして降りてくる(写真下)。

スイングセンサー機構を採用している

なお、付属ソフトのColorNavigatorでスケジュール管理することで、モニターが自動で定期的なキャリブレーションを行うようにも設定できる。モニター単独で行われるため、PCやMacの電源オフ時やユーザーが不在時でも実行が可能だ。また、より正確なキャリブレーションを実施するためにモニターの安定状態を測定し、安定してからセルフキャリブレーションを開始する機能も搭載している。さらに他のセンサーとの測定結果を合わせるツール「Correlation Utility」が付属しており、複数台のColorEdgeを1台のセンサーを基準に管理することができる。

ColorEdgeシリーズ専用モニター調整ソフトウェア「ColorNavigator」のツールメニューから「セルフキャリブレーション」を選択。「キャリブレーションスケジュール」画面で、キャリブレーションのタイミング(即時、パワーセーブ時、スケジュールしない)、周期などが設定できる

フレックススタンド

フレックススタンドは、FlexScanシリーズのEV2333W-HやSX2262W、今年1月に発売された22型のCG223Wなどで採用された新しいスタンドである。一番大きな特徴は、縦回転に対応しながらも横置きにした際に画面を床スレスレまで下げられることだ(従来機CG243Wなどに採用されていた2本足のスタンドだと横置き時に画面部分を十分に下げられなかった)。また、横方向の回転(スウィーベル)が大きくとれるようになったため、画面を見ながらの打ち合わせ時にも重宝しそうだ。

遮光フード

縦回転時の遮光フードだが、従来機は縦回転時にフードを装着できなかった。本機では縦回転時用のパーツが付属しており、それらを継ぎ足すことでは縦回転時にもフードが装着できるようになっている。

写真左:フレックススタンドの昇降範囲は最大225mm。スウィーベルは従来機の2本足の左右角35°から左右角172°と大幅に向上している。写真右:縦回転時にもフード装着が可能。なお、キャリブレーションは縦位置でも実行可能である

LEDフロントボタン

LEDフロントボタンだが、従来機はボタン自体は光らず、エンボスのシルク印刷であった。そのため暗所でボタン操作する場合は、電源ボタン以外のボタンを押して画面上にボタンガイドを表示させていた。本機ではボタンそのものがLEDで光るため、暗所でのボタン操作も容易になっている。従来のボタンガイドと合わせて操作性が向上したといえよう(写真下)。

さて、キャリブレーションセンサー内蔵で、現行機種ColorEdge CG243W(EIZOダイレクト販売価格:17万8500円)の3万円程度の価格増とはお買得感が高いように思えるが、逆にセンサーを内蔵してしまったため、ColorNavigatorで使えた「紙白測定」「環境光測定」「色見台測定」などの機能を利用したい場合は、別途i1 Proなどのセンサーが必要になってしまう。初めてColorEdgeを購入するユーザーには、CG243Wにi1 Display 2などを組み合わせた方が良いかもしれない。

とはいえ、ColorEdgeのようなプロ用機材を利用するユーザーの場合、既に測色器を所持している場合も多く、この心配は杞憂にも思える。大判インクジェットプリンタにキャリブレーションセンサー内蔵の機種が増えてきたように、今後、プロ用モニタにもキャリブレーションセンサー内蔵機種が増えてくるのは間違いない。