シトリックス・システムズ・ジャパン 代表取締役社長 Michael King氏

シトリックス・システムズ・ジャパンは2月24日、同社の2010年の企業戦略を発表した。前 セールスフォース・ドットコム 執行役員副社長で、2008年までシマンテック 会長 エグゼクティブ・アドバイザーを務めた木村裕之氏を今年1月に副社長に迎え入れ、"デスクトップ イノベーション"をスローガンに「Citrix XenDesktop 4」などの販売を強化していく。

発表会の冒頭、ビデオメッセージというかたちでコメントを寄せた米Citrix CEOのMark Templeton氏は、ITシステムをシンプル、高速かつ簡単に調達/利用できるようにするグローバルコンセプト「IT as an On Demand Service」を紹介。その一環として、XenDesktopによる仮想デスクトップソリューションを推進していくことを説明した。

Templeton氏の説明を受けて国内戦略を発表したシトリックス・システムズ・ジャパン 代表取締役社長 Michael King氏は、2009年度に米国で仮想デスクトップソリューションが急激に伸びたことを紹介。さらに、国内のデスクトップ仮想化ソフトウェア市場が2008年から2013年までに年間平均61.8%で伸張していくというIDC Japanの調査レポートに触れたうえで、「2010年度は日本での大幅な売り上げ増を期待している」(King氏)とし、今年を「デスクトップ仮想化元年」と銘打ってXenDesktopの販売活動を強化していくことを説明した。

2009年度、米国では仮想デスクトップの売上が大きく伸長

続いて、登壇した木村氏は、今年度の営業戦略を説明。大きな柱として「エンタープライズ営業の強化」、「アップセリング/クロスセリングの展開」、「DaaS(Desktop as a Service)/Cloudビジネスの推進」、「サービス基盤の強化」の4つを挙げ、それぞれの施策を解説した。

シトリックス・システムズ・ジャパン 副社長 木村裕之氏

これらのうち、「エンタープライズ営業の強化」という点では、顧客にダイレクトにアプローチする"ハイタッチ営業"を2009年度はトップ25社にフォーカスして展開していたが、2010年度は200社にまで広げる予定。それための施策として、顧客を契約アカウント数に応じるかたちで「メジャーアカウント」、「戦略的アカウント」、「主要アカウント」の3種類に分類したうえで、それぞれに適したサポートを提供するほか、さらに「公共」、「金融」、「製造/流通」、「テレコム/サービスプロバイダー」の4種類のインダストリーに分けて、パートナーとともに最適なソリューションを模索していく。

また、SIパートナーとの連携も強化していく方針で、技術協力を積極的に進めていくうえ、Webサイトも共同で立ち上げ、技術情報の共有を行うという。

2010年度は200社にハイタッチ営業をかける

一方、「アップセリング/クロスセリング」という点では、具体的なアップセリング施策として、現在契約中のXenAppユーザーライセンスを、2倍の数のXenDesktopライセンスに交換できるトレードアッププログラムを提供する。このプログラムにより、XenDesktopに乗り換える企業は、XenDesktopを新規に導入する場合に比べて、最大80%のコスト削減が期待できるという。

シトリックスでは、これに併せて、クロスセリングの販売も強化していく考えで、既存のCitrixユーザーに対して、ネットワークアプライアンスの提供をはじめ、デスクトップ、ネットワーク、SaaS各分野の製品/サービスの導入を促し、全社最適を見据えたEnd-to-Endの仮想化ソリューションを提供していく。

シトリックスのクロスセリング形態

さらに、「DaaS/クラウドビジネスの推進」に関しては、「HDX(High Definition eXperience)」と呼ばれる同社の高速通信技術を前面に押し出してXenDesktopの販売を強化していく構え。また、パートナー各社とともにプライベートクラウド、パブリッククラウドに対応させていく予定で、すでに日立、OGIS、NTTデータなどのパートナー名が挙がっている。

そして、「サービス基盤の強化」という点では、大規模システムに対応した「コンサルティングサービス」、「教育」、「サポートサービス」を提供していく。コンサルティングサービスでは、ROI分析や基本アーキテクチャ立案サービスのほか、クラウド型基盤/運用設計サービスを提供。教育サービスでは日本語による教育コースの実施、サポートサービスではサポート専任者による細かな対応を進める。

サービス基盤強化策の概要

マイクロソフト エンタープライズパートナー営業統括本部 ストラテジックアライアンス本部 兼 パートナーソリューション本部 業務執行役員 本部長 杉山昇氏

これらに加えてシトリックスでは、アライアンス/パートナシップ活動の強化にも力を入れていく。King氏は、その具体策の1つとして、マイクロソフトとの20年以上にわたる協業関係をさらに強化していくことを明かし、マイクロソフト製品とシトリックス製品を組み合わせた仮想デスクトップのベストプラクティスを両社が共同で提供していくことを説明した。

なお、マイクロソフトは、Windows Server 2008 R2で「リモート・デスクトップ・サービス」という機能を備えるなど、自社の仮想デスクトップソリューションも持っているが、マイクロソフト エンタープライズパートナー営業統括本部 ストラテジックアライアンス本部 兼 パートナーソリューション本部 業務執行役員 本部長の杉山昇氏は、「大規模の仮想デスクトップを導入する場合はシンプルで統一性のとれたシトリックスのソリューションが向いている」とコメント。過去の事例として、1万台を超えるような環境でシトリックスのソリューションを勧めたことを紹介した。

マイクロソフトとシトリックスによる仮想デスクトップのベストプラクティス