NECは、同社が開発した映像品質の客観評価技術がITU-T SG9における映像品質の客観評価方法に関する国際標準規格「J.249」の1方式として採用されたことを明らかにした。

同技術は、量の画像特徴量を用いて映像品質(QoE:Quality of Experience)の客観的な評価を自動で行う技術で、送信元の映像画面から少量の特徴量を抽出・送信し、受信端末側でこの特徴量と受信映像の特徴量を比較することで品質を評価。特徴量は、画面を16×16画素のブロックに分割し、各ブロック内の輝度の分散に相当する簡易な特徴量として算出。品質チェックを行う際に送信元の映像が不要で、抽出された少量の特徴量だけあれば、サービス運用中でもリアルタイムにチェックすることが可能だ。また、配信経路のさまざまなポイントで品質評価できるため、システム障害の発生箇所を素早く見つけることが可能となる。

また、圧縮処理前の元映像から抽出した特徴量と、圧縮・伝送して受信した映像の特徴量とを比較するため、送信元での圧縮処理や再圧縮処理(トランスコード)で生じた品質劣化や、IPネットワークでのパケット損失で生じた劣化を評価することが可能なほか、特徴量は少ないデータ量でも、視覚特性を考慮した方法を用いることにより、元映像と直接比較する従来の客観評価指標PSNRと同等以上の、高精度な画質評価を実現している。

さらに、特徴量による評価処理は負荷が軽く、機器への実装が容易となる。例えば、地上デジタルテレビ放送で使用されている映像復号処理(MPEG-2)に比べて約1/20の演算量で画質を評価可能。このため、TVやSTBの映像処理に使われている高性能LSIだけでなく、標準的なPCやモバイル端末のプロセッサでもリアルタイム評価が可能となる。

なお、同技術は、現在、映像配信時の監視向けとして、NEC情報システムズにて試作・開発が進められているという。