OS基本機能 - 電力/メモリ使用量、性能が大幅改善
前掲のとおり、話題性の高い新機能が多数追加されているWindows Server 2008 R2。しかし、「システム管理者にとって本当にインパクトが大きいのはこちら」と、高添氏が最も強調したがOS基本機能の改善である。
高添氏によると、OS基本機能は、「今回のリリースでかなり力を入れて開発が進めれた部分」だという。その甲斐あって、Windows Server 2008 R2では、電力使用量およびメモリ使用量が大幅に低下。パフォーマンスも大きく向上している。
こうした成果を支えているのが、前掲の「NUMA対応」、「Core Parking」、「P-Stateの調整」といった機能だ。
NUMA対応 - リモートメモリの使用を減らし、Many Coreでの性能向上
NUMAは、Non-Uniform Memory Accessの略。プロセッサごとにローカルメモリが用意されたマルチプロセッサシステムにおいて、各プロセッサからバスをまたがって別プロセッサのローカルメモリ(リモートメモリ)を利用できるCPUアーキテクチャのことだ。
NUMAでは、全プロセッサのローカルメモリが共有されるかたちになり、柔軟性は向上する。しかし、リモートメモリへのアクセスはローカルメモリへのアクセスに比べ数倍時間がかかるため、うまく制御できないと、いくらプロセッサ数を増やしてもパフォーマンスは向上しない。
Windows Server 2008では新たに、このNUMA環境向けの最適化が行われており、コア数に比例したパフォーマンスが期待できるようになっている。Microsoft SQL Serverを使ったパフォーマンステストでは、128プロセッサ環境で64プロセッサ環境の1.7倍のパフォーマンスが計測できたという。
Core Parking - 不要なCPUを休眠
電力消費量削減への貢献という点で最もわかりやすい機能がCore Parkingである。
CoreParkingは、アクティブなCPUの数を減らすための機能。処理を受け持っていないCPUを休眠させて電力供給を停止するほか、多くのCPUが少しずつ処理を実行しているような状況では、処理を一部のCPUに集中させ、稼働中のCPUの数を減らす仕組みになっている。
高添氏によると、Core Parkingは各地のセミナーでも聴講者の関心が高い機能だという。
P-state対応 - CPUの周波数を落として電力消費を抑える
Core Parkingは、大変わかりやすく、いかにも電力消費量削減が見込めそうな機能だが、高添氏が「地味ながらも、省電力の効果が期待できる」と説明するのがP-state対応である。
P-stateは、コアの使用電圧と周波数を変動させることができるCPU機能。余裕のあるときは周波数を低下させ、電力消費量を削減するといった使い方が可能だ。
先述のとおり、Windows Server 2008 R2で使用できる最大コア数は256。それらすべてが100%の状態で稼働しなければならない状況ほとんどないと言ってよいだろう。それを考慮すると、常時最大の電圧をかけておくのはもったいない。P-stateを柔軟に変更することで、普段は周波数を落として電力を節約し、必要になったときだけパフォーマンスを上げられると考えれば、この機能がいかに有用かおわかりいただけるはずだ。