NXP SemiconductorsのRF/高性能アナログASIC事業担当シニア・ディレクターであるJacob van der Pol氏

オランダNXP Semiconductorsは、これまで特定顧客向けに展開していたRF/高性能アナログASIC事業を、より幅広い顧客に向けて展開、本格化を進めていく。同事業の戦略について、2009年11月27日にJacob van der Pol本社同事業担当シニア・ディレクターがNXPセミコンダクターズジャパンにおいて説明会を行った。

同社のRF、アナログASICプロセスで今後重点的に普及を図っていく技術は以下のようなものである。

高周波RF向けの0.25μmプロセスである「QUBIC4」、高耐圧(HV)/パワー向けの0.25μmプロセスである「C050HV」、0.6μm以下のSOI基板ベースで120VのHV/パワープロセスである「ABCD」、650VのHV/パワープロセスの「EZHV」、0.14μmのミクスド・シグナルCMOSプロセス、を上げている。

NXPのAMS、RFプロセスポートフォリオ

QUBIC4はゲート材料に電子移動度の高いSiGe-C(C:カーボン)を採用し、最高遮断周波数180GHz/200GHzを実現している。ノイズ指数も0.5dB(10GHz時)にまで高めている。IPとして、トランシーバ、LNA(Low Noise Amp)からコンデンサ、インダクタ、抵抗といったコンポーネントレベルまで準備している。これにより、RF部のほぼすべてを提供することが可能になっている。携帯電話、WiMAX、車載トランシーバ、GPS LNAなどで実績を残している。2002年以降量産を行っており、45製品をテープアウト、20万枚以上の200mmウェハ出荷実績を残している。

CMOS14プロセスはフラッシュメモリ(CMOS14NV)、パワー(CMOS14P)、RF(C14AMS)、さらに高電圧(ABCD9)についても同プロセスをベースにしている。このようにさまざまなアプリケーションに対応した10のプロセスオプションを準備している。また、IPとしてもプロセッサ、オーディオコーデック、メモリ、コンバータとしていった基本IPに加えて、高速DAC/ADC、D-VGA、シリアルデータ・インタフェースといったアプリケーションベースで要求される分野まで、幅広く準備されている。

アナログCMOSASICは2004年から量産を開始し、これまでに30以上の製品化、6万枚以上の200mmウェハの提供を行ってきている。CMOS14に関してはCMOS14AMSは2010年半ばから。CMOS14Pについては5Vはすでにリリースしており、20V対応は2010年半ばからの量産開始を計画している。ABCD9は2010年第3四半期にも車載用途向けに量産を始める見通しである。

同社は10年以上にわたり、同分野でのASIC開発を行っており、実績を残してきている。アナログ、RF分野に最適化したプロセスに加えてデザインツール、IP、エンジニアリングの知識、ノウハウ、経験を生かして、設計、試作、製造、組立・テストまで、ASIC生産に関わる全工程を1ストップで提供できるようになっている。ファウンドリなどの競合他社は、ファブレスやファウンドリといった業態が多く、顧客の多様な要求にも柔軟に対応できるようになっていることが、差別化につながるとしている。

NXPが提供するサービスフロー

自社のウェハプロセス・ラインとしてはオランダNijmegen、シンガポールSSMC(TMSCとの合弁)の200mmライン、組立・テスト工程に関しては、中国・蘇州、台湾・高雄、タイ・バンコクで行っている。設計拠点はフランスCERN、オランダEindhoven、アイルランド、米San Jose、上海に置かれている。また、顧客が自らの保有ツールで行うCOTにも対応している。

日本でも同分野の強化のため、ここ2年半で25名の設計部門を拡大した。ASIC事業の本格化を進めるためにもさらなる強化計画している。同分野の売上高に関しては、2009年度には、厳しい半導体の市場環境の中でも2009年度で前年比25%増を遂げているが、一層の事業拡大をめざしていく。