NECは2009年上期の決算を発表するとともに、2009年度の通期の業績見通しを修正した。
それによれば、上期の実績は売上高が1兆6,537億円(前年同期比22.3%減)、営業利益が377億円の赤字(前年同期比511億円減)、純利益が436億円の赤字(前年同期比454億円減)と、いずれも前年同期を下回ったが、7月30日の予測値に対しては売上で37億円、営業利益で23億円、純利益で64億円それぞれ上回った。
セグメント別売上では、ITサービス、ネットワークシステム、エレクトロデバイスが下振れしたが、ITプロダクトやパーソナルソリューション、社会インフラがカバーし、予測値を上回った。
NECでは上期の業績を受けて通期予想も変更し、売上高を700億円、営業損益を400億円、経常損益を200億円、それぞれ下方修正した。ただし、純利益については、100億円の黒字のまま据え置いた。これについて代表取締役執行役員社長の矢野薫氏は、「NEC単体は順調で、配当原資は確保できると思っているが、連結でも黒字化したいので、100億円という目標値を設定した。上期の実績では100億円、営業外費用を計画より削減できており、営業利益の下の部分でいろいろ改善ができるためだ」とした。
そのほか、NECは今年度2700億円の固定費削減を図っているが、上期の進捗率が55%と順調なことから、さらに200億円を積み増し、2900億円を削減することを目標とした。
下期の見通しについて矢野社長は「3Qは景気の回復が衰えており、4Qは非常に厳しい状況が予想されるが、NECはBtoBが中心なので、世の中の景気の影響はそれほど受けないだろう。製造業系のシステムは苦戦しているが、それ以外の業種については、ITが商品そのものといった状況になっているので、そこに投資しないわけにはいかない。サービスについてはむしろプラス成長だと思っており、決して悲観的になる必要はない」と述べた。
来期以降については「来期以降はITとネットワークソリューションが中核になってくる。それに対し、どんな手をうっていくかで我々の将来が決まる。C&Cクラウド戦略はその道筋を示したもので、すでに受注があり、大変引きが強い。我々はクラウドをネットワークの中にコンピュータリソースが入ってきたものが、クラウドだと理解している。わかりやすくいえば、電話局がデータセンターになったということだ。NECはすでにこの分野においてリーダー的な存在で、マーケットのポジションを固めつつある」と注力するクラウド事業における自信を示した。
ルネサステクノロジとの経営統合が決まり、来期は連結対象から外れるNEC エレクトロニクスについては「半導体は大事な事業で、産業の米だ。当社のプロダクトにおいても心臓であり、持っているメリットはある。ただ、NECエレクトロニクスからみれば、NECは10%にも満たない小さな客であり、急にインパクトが出ることはない。今後はチップ自身ではなく、そのまわりのソフトウェアの部分が競争力の根源になってくる。心臓の部分はチップからソフトウェアに変わりつつある」とし、製品の差別化ポイントはソフトウェアにあるとの認識を示した。