エプソンは10月27日、オフィリオプロジェクタの新機種として、フラッグシップモデル「EB-Z8000WU」「EB-Z8050W」、多機能パワーモデル「EB-1925W」「EB-1920W」「EB-1915」「EB-1910」、モバイルモデル「EB-1724」の計7機種を発表。都内にて発表会を行った。
発表会では、エプソン販売 取締役 マーケティングセンター長 中野修義氏が新製品の概要を説明した。
システムユース向けに「EB-Z8000WU」「EB-Z8050W」、ビジネスユース向けに使いやすさを追求した「EB-1925W」「EB-1920W」「EB-1915」「EB-1910」、持ち運びやすさを追求した「EB-1724」を新たに投入することで、プロジェクタのラインアップが全23機種となる。
使いやすさを追求したビジネスユースの多機能モデル「EB-19」シリーズは、大会議室での会議、プレゼンテーション、研修、セミナーなどでの利用を想定している。ビジネスユースでは会議室から会議室へ持ち運んで使う場合に、準備、使用、片付けしやすいことが重要になるが、これらに対しては自動的に画面を補正する機能を新たに持たせることで対応度を高めているとのこと。
システムユースの「EB-Z」シリーズは、大ホールや大学・企業の講堂や体育館での利用を可能にした非常に明るいプロジェクタで、天吊りにも対応。3LCD方式としては世界で初めてWUXGAを実現。1,920×1,200ドットという、テレビのフルハイビジョンを上回る解像度を誇る。
また、エプソンでは14年連続でプロジェクタの国内シェアが1位だが、これは5,000ルーメン以下のモデルについての話。今回発表になった「EB-Z」シリーズは、5,000ルーメンを超えるモデルだが、この市場にはエプソンとしては新規参入となる。5,000ルーメン以上の国内市場構成を見ると、台数ではわずか4.3%だが、金額では14.0%ということで重要な市場となっている。この分野でも、2010年度にシェア30%でシェア1位を目標にしていると語った。
このようなフラッグシップモデルでは、明るさ、ハイビジョン対応、高画質という商品そのものの価値はもちろん、取り扱いのよさ、設置、アフターサービスなども重要。一度設置すると、外すことはまれで、設置に関しても音響設備などと一緒に設置されることが多い。そのため、パートナーとともに満足度の高い製品を提供していくとした。
続いて、セイコーエプソン 映像機器事業部 副事業部長 森山佳行氏が、プロジェクタ市場の概況と新製品の紹介を行った。
世界市場では、2009年度は5%程度縮小したものの、2010年度、2011年度は回復し、年10%程度伸びていくと分析。そのなかでのエプソンの世界シェアは、現状では台数ベースにおいて2位の約3倍の22.8%を占めておりトップを記録している。
フラッグシップモデル「EB-Z」シリーズは、エプソン初の5,000ルーメンを超えるモデルである。こうしたモデルは天井に設置する場合が多いと想定し、設置したときに天井に対して違和感がないようなデザインに仕上げただけでなく、レンズをセンターにしたため、スクリーンとの位置調整がしやすくなっている。また、接続端子群を前面に配置し設置しやすくしたうえ、ケーブルカバー付きのためケーブルがスッキリと収まる。このような特徴を含め、「EB-Z」シリーズは高画質、信頼性、設置性、メンテナンス性の高さがポイントとなっているのであると述べた。
高画質では、エプソンシネマフィルターをビジネス系のプロジェクタとしては初搭載することで、高い色再現性を実現。液晶パネルはオリジナル高画質技術「C2FINE」を装備し、高コントラストでなめらかな画面を再現。信頼性では2ランプ光学システムを採用しており、片方のランプが切れても、投写が継続できるようになっている。冷却システムではペルチェ素子を使った液冷式クーリングシステムによって本体を効率よく冷やせるようになり、動作温度も45度まで対応した。設置性については、電動レンズにより画質を劣化させることなく画面の位置調整を可能にした。
プロジェクタは設置場所により投写距離が変わるが、投写レンズを6種類用意しているので、設置状況により最適なレンズが選べるようになっている。加えて、レンズの設置はバヨネット式になっているため、簡単にレンズが交換が行える。
天吊金具は外観と安全性を考慮した専用の金具を用意。低天井用は天井との隙間が少ないようなタイプ、高天井用は最適な位置に調整しやすいタイプとなっている。メンテナンスとしては、ランプ交換、フィルタ交換があるが、専用の工具なしで交換できるように作られている。そして、ネットワークに接続することで、遠隔地から複数のプロジェクタを監視、制御ができるようになっているほか、3年間保証を用意している。
「EB-19」シリーズは、多機能パワーモデルとして4,000ルーメンの4機種を用意。オフィスに合ったデザインを継承しながら、排気口を前面に変更。いままでは排気が横に出ていたため、会議に参加していた人に暖気が当たることがあったが、この移動によりその問題を解消した。
「EB-19」シリーズは、大きく分けて、高画質、可搬性が高い、使いやすいといった3点が特徴となっている。高画質では、E-TORL(Epson Twin Optimize Reflection Lamp)を搭載することで、従来から500ルーメンの明るさ向上を実現した。可搬性では、重量3.4kgと持ち運べる重さにしたほか、ソフトキャリングケースを付属している。使いやすさでは、「かんたんセットアップ」「自動タテヨコ補正」を搭載。本体の「かんたんセットアップ」ボタンを押すだけでスクリーンに画面を合わせられる。「自動タテヨコ補正」を使えば、壁などに投写する場合にも歪みを検出して補正できるため、セッティングの時間を短縮できる。さらに、PCとUSBで接続すると、映像だけでなく音声も転送可能。加えて、「EB-1925W/1915」では無線LANのオプションを用意すれば、無線LAN経由で映像と音声を転送できる。前機種で好評だった日本語表記、ダイレクトシャットダウンを継承するなど、ユーザビリティーを高めるための機能や仕様を搭載している。
最後に、エプソン販売 プロダクトマーケティング部 部長 久保厚氏が、国内市場環境と販売戦略について説明した。
「EB-Z」シリーズは画質だけでなく、扱いやすい本体形状と天吊金具を持つことで、パートナー企業にとっても扱いやすい。最終的なエンドユーザには設置、アフターサービスを用意し、全体的な価値を提供した機種となっている。このようなフラッグシップモデルではパートナー企業との強い協業によって、いかにエンドユーザーに対してよりよいシステムを提供できるかがカギになるため、そこをカバーしながら販売チャネルを広げていきたいとした。
「EB-19」シリーズでは、ユーザーニーズにあわせた商品開発を推進。もっと明るく、小さくしてほしいというニーズに対しては、4,000ルーメンの明るさと3.5kg以下の軽さを両立。準備、片付けを簡単にというニーズには、「かんたんセットアップ」「ダイレクトシャットダウン」を用意。家電感覚で使えるものがほしいというニーズにはUSB接続で映像と音声の転送を実現した。このように基本性能と使いやすさを追求するとともに、シェア1位の安心感により、誰もが満足できる価値を提供していくと語った。
14年連続シェア1位の実績から、多くのユーザーニーズが集まっており、それを生かした商品作りを続けていくとしている。