NECは10月26日、メガネ型網膜走査ディスプレイとウェアラブル(身体装着式)コンピュータ端末を活用したユビキタス業務支援システム「Tele Scouter」を製品化し、販売を開始したことを発表した。

同システムは、実際の視覚画像に、実在しない別の画像を重ねて表示するメガネ型網膜走査ディスプレイと、ディスプレイに表示するコンテンツを管理し中央に設置されたサーバと無線通信を行うウェアラブルコンピュータ端末、小型カメラ、マイクやイヤホンといった音声機器などから構成される。

メガネ型網膜走査ディスプレイの装着イメージ(左)と表示イメージ(右)

同システムで用いる装置を装着した現場作業者は無線ネットワークを通じて、現場の映像や音声を中央のサーバへ送ったり、同サーバから関連する資料を引き出したり、遠隔地にいる指導者やエキスパートなどと映像や音声を共有したりすることができる。

具体的には、工場や倉庫で、現場担当者が装着したメガネ型網膜走査ディスプレイに生産指示票やピッキング情報を表示して製品の組み立てやピッキングを行ったり、保守現場で、ウェアラブルコンピュータ端末を通じて、映像や操作マニュアルを現場と中央本部間で双方向に共有するといったことができ、作業の効率化と安全性向上が実現される。

Tele Scouterの利用イメージ

同システムは2010年11月より出荷開始予定で、順次海外へも展開される。同社は今後、同システムと同社の画像認識技術や音声認識技術を組み合わせ、盗難車検出や音声入力によるコンテンツ配信、自動通訳など、さまざま領域に展開していく予定だ。

価格は、メガネ型網膜走査ディスプレイ30台、ウェアラブルコンピュータ端末30台、管理用サーバ1台で750万円から(SI費用は含まず。税別)。