危機を乗り越えて

デジタルハリウッド開校後、ずっと経営が順調であったわけではない。同校は、2000年代のITバブル時に最大の危機を迎える。日本でもビットバレーブームが起き、お金が余っている人たちが、どんどんお金をつぎ込み起業した。そして同校にもCGをはじめ、Webデザインなどを習いにくる生徒が急増。生徒の増加にあわせ設備に投資し、教室を増やし、PCなどのハードの数も揃え、スタッフも増員した。そんな折、ITバブルがはじける。

「学校は、急には縮小ができないので、その時はやはり苦労しましたね。僕らは淡々と同じことをやっているつもりだったのに世間のブームに振り回されてしまいました」

その後、投資家たちの助けもあり無事に危機を脱し、2002年には人材育成などをする企業パートナーらが名を連ねるデジタルハリウッド・パートナーズを発足。2003年にはデジハリ通信科やコンテンツ制作会社「デジタルハリウッド・エンタテインメント株式会社」を設立し、東京本校内に学内インキュベーションセンター「hollywood style」を設立する。2004年には国内初となる株式会社による専門職大学院・デジタルハリウッド大学院、2005年には4年制大学・デジタルハリウッド大学をそれぞれ開校。さらに2006年には日本経済団体連合会(経団連)参加や、デジタルハリウッド大学八王子制作スタジオをオープンするなど、躍進を続けている。

デジタルハリウッド大学院の講義風景

そして、現在同校が取り組んでいるのが、従来のクリエイター層に加え、クリエイターに発注する側の人々、つまり企業のビジネスマンに最新のテクノロジーやコミュニケーション技術への理解を深めてもらうこと。そうした理解が広まることでデジタルコンテンツの活用自体が盛り上がればうれしい、と同校は考えている。

このような信念を持ちながら、常にデジタルコンテンツの最先端を教え、DTPやWeb、映像業界に多くの優秀な人材を送り続けているデジタルハリウッド。マイコミジャーナルでは、クリエイティブチャンネルにて、11月より同校の最新情報を詳しく紹介する専用カテゴリーをオープンする予定となっている。

人物撮影:石井健