三洋半導体は、「テレビドアホン用FM変復調ICシリーズ」を開発したことを発表、都内において製品に関する記者説明会を行った。

機能の説明などを行った三洋半導体・映像デバイス開発部 大澤郁郎専任部長

三洋半導体が開発した「テレビドアホン用FM変復調ICシリーズ」3製品

同シリーズは、テレビドアホン、監視カメラなどでの映像信号のFM伝送に、VTRの録画技術で培った映像信号(CVRS)のFM変調・復調技術および、そのためのアナログ回路技術を応用することで、内部クロックの高精度化、変調周波数、周波数偏差、復調周波数、復調レベルの±5%の精度(周波数偏差、復調レベルはSPEC±3.3%)による提供が可能であり、無調整化を実現している。

三洋が培ってきた映像信号のFM処理技術を応用

このため、システムへの設置時には指定の外付け部品を接続するだけで、無調整でFM変復調を行うことができ、1つのICで変調モードと復調モードを切替えて対応出来るため、ICの管理が容易となり、コスト削減を可能にする。

さらに変調周波数分離精度も向上、電源配線に映像信号、音声信号を乗せて通信することが可能としている。これにより、映像信号や音声信号の専用線を削減でき、システムの簡素化やコストダウンを実現している。また、ASK変復調回路によりデータ信号も乗せることが可能であるため部屋番号情報などの情報のやり取りも可能となっている。ドアホンの配線をそのまま利用して、テレビドアホンへのシステム変更も可能だ。

FM変復調ICを活用したTVドアホンのシステム例

今回、音声信号用「LA72914V」の開発により、開発済みの「LA72910V」(映像信号用)、「LA72912V」(映像信号+データ信号用)とのセットで、電源配線を利用した映像信号・音声信号・データ信号の通信が可能となる。

用途に合わせたIC構成が可能

映像信号などのエンファシス/ディエンファシス機能を実装、見やすい映像の転送を実現している。LA72910V、LA72912V は新潟工場で量産、出荷中である。なお、LA72914Vは2009年10月からサンプル出荷を開始、サンプル価格は200円。2010年春からの量産出荷開始を予定している。量産規模は月産20万個を計画している。

LA72910VはFM変調/復調、FM停止/FM停止検出、LA72912VはFM変調/復調、FM停止/FM停止検出、ASKデータ送受信をそれぞれ行う。変調周波数は11.5M~13.5MHz、変調周波数偏差は2MHz。LA72914VはFM伝送波/トラップは4.5MHz/6.5MHz、変調周波数偏差±25kHzで、2キャリア音声FM変調/復調を行うことができる。

パッケージはLA72914VがSSOP16(225mil)、LA72912VがSSOP24(275mil)、LA72910VがSSOP16(225mil)となっており、Vccが5Vでの電圧動作が可能となっている。