Analog Devices(ADI)は、低消費電力を実現した3チャネル・スキュー補償ビデオディレイラインIC「AD8120」を発表した。パッケージは5mm×5mmの32ピンLFCSPを採用。すでに量産を開始しており、価格は1,000受注時で14.75ドルとしている。

3チャネル・スキュー補償ビデオディレイラインIC「AD8120」のブロック図

同製品は、業界水準の従来製品に比べ消費電力を半分以下に抑えることが可能なほか、、すべての遅延設定において0.8%精度のチャネル間ゲイン整合を実現していることから、高精度のRGBカラービデオ性能を提供することが可能。

また、50ns遅延時に150MHzの帯域幅を実現したことで、7,500MHz-ns BWxD(帯域幅と遅延量の積)の性能ベンチマークを達成することに成功している。

さらに、Cat5、Cat6、Cat7などのケーブルで長距離にわたってアナログビデオ信号を伝送するときに発生するスキューを補償することが可能だ。これは、64ステップのデジタル制御調整もしくはアナログ制御調整を用いて、広帯域信号を0.8ns刻みで最大50ns遅延できる3つのディレイラインを組み込んだことにより実現されたもの。同製品に用いられている遅延技術は、ノイズと出力のオフセットを最小化することが可能であり、これにより、UTPケーブル上の高精細ビデオ信号を受信するアプリケーションに対応する。

加えて各チャネルに個別の遅延制御機能を提供しており、遅延時間は、標準の4線SPIバスまたは標準のI2Cバスを用いるか、VCR(赤信号電圧制御)、VCG(緑信号電圧制御)、VCB(青信号電圧制御)ピンにアナログ制御電圧を印加することで、それぞれ独自に設定することが可能だ。また、アナログ制御により、デジタル制御機能のないシステムにも簡単なソリューションとして使用することが可能である。

なお、同製品は、UTPケーブルによるビデオ伝送アプリケーションにおいて、同社の3チャネルUTPイコライザ「AD8123」と組み合せて用いられるように設計されているが、同様の制御による広帯域信号の遅延が要求されるその他のアプリケーションにも用いることが可能となっている。