インフォメーションワーカービジネス本部 業務執行役員 本部長 横井伸好氏

マイクロソフトは、年内に発売が予定されているExchange Server 2010(以下、2010)の開発方針と製品戦略をプレス向けに説明した。

Exchange Server 2010は、現在製品候補版であるRCの段階で、近々製品版のRTMが完成する見込みで、年内には発売できる予定だという。

インフォメーションワーカービジネス本部 業務執行役員 本部長の横井伸好氏は、Exchange Server 2010の製品価値として「場所を問わないアクセス」「柔軟性と信頼性」「保護とコンプライアンス」「ソフトウェア + サービスに最適化」の4つを挙げた。

Exchange Server 2010の4つのポイント

「場所を問わないアクセス」では、2010においてはMac OSX Snow Leopard、ブラウザではFirefoxやSafariといったWindows以外のプラットフォームにも対応したことや、Windows Mobile、iPhoneなどのモバイル端末にも対応し、いつでもどこでもアクセスできる点を挙げた。

Windows以外のプラットフォームやモバイル端末に対応

「柔軟性と信頼性」では、メール、アドレス帳、予定表を1つの画面で見せることができるインタフェース、日本のユーザーからのフィードバックによって実現した階層化アドレス帳とグループスケジュール、自動車の運転中でも操作できる自動音声認識やテキスト読み上げ機能、2007に比べ70%のI/O削減によるパフォーマンス向上を挙げた。

日本のユーザーからのフィードバックによって実現した階層化アドレス帳とグループスケジュール。階層化アドレス帳では、会社の部署による階層管理が可能になった。グループスケジュールでは、チェックボックスによって、時間軸を縦軸から横軸に変更でき、予定表の項目幅を広げて見やすくすることができる

I/O削減の削減は、メモリの64ビット化、DB構造の見直しなどにより実現したという。

横井氏は、これにより低速のディスクでも十分なパフォーマンスを得られるので、運用コストを削減できるとした。

「保護とコンプライアンス」では、米国の民事訴訟において、電子証拠を開示することが義務化(eDiscovery)されたことにより強化された機能だという。横井氏によれば、これにより米国と取引のある日本企業も対応を迫られているという。

具体的には、社員がメールを削除し証拠隠滅を図らないように、個人のメールデータ(OutlookのPSTファイル)をサーバ側でバックアップし、クライアント側で削除してもサーバ側のデータを削除しない機能を搭載したり、キーワードや期間によって、ユーザーを横断的にメールを検索して結果を法廷開示用のPSTファイルにエクスポートする機能、法務責任者、人事担当者、システム管理者など役割別に権限を管理する機能が搭載された。

「eDiscovery」対応の検索機能。検索結果を法廷開示用のPSTファイルにエクスポートできる。結果をファイルをエクスポートするのは、検索実行者と閲覧者の権限を分けて管理するためだという

役割別の権限管理は、Active Directoryのスキーマを変更することにより、実現しているという。

eDiscovery対応のため設けられた役割管理モデル

「ソフトウェア + サービスに最適化」では、自社設置型、クラウドサービスでの利用という2つの運用形態に対応することにより、本社は自社設置型、支店はサービス利用といった運用が可能になるだけでなく、転勤により社員が本社・支店間で移動しても、Windows Azureが提供するフェデレーションサービスによってメールボックスをシームレスに移行できる点を挙げた。