生成AIの急速な進化は、単なる「効率化」の域を超え、システム開発の在り方や企業のビジネス戦略を根本から覆すパラダイムシフトを引き起こしている。Google Cloudのダイヤモンドパートナー(Service / Co-sell)であり、日本のクラウド市場を牽引してきたクラウドエースは、この激変期において大胆な自己変革を敢行。「すべての瞬間で感動を呼ぶ」というタグラインを掲げ、SIerとしてのアイデンティティを「AI駆動」へとアップデートした。
同社が新たに提示する「AX(AIトランスフォーメーション)コンサルティング」は、AIを単なる便利な道具として使う段階を超え、「AIを『ツール』ではなく『労働力』として組織に組み込み、業務プロセスそのものを再定義する」変革を推し進める。これまで数ヶ月を要していたビジネス上の試行錯誤が、AI駆動によって数分単位のサイクルへと短縮される――。この圧倒的なスピードこそが、同社が提唱するビジネス・アジリティの新たなスタンダードだ。
豊富な知見と実装力を武器に、数多くの企業のDXを支えてきたクラウドエースが今、SIerとしてのアイデンティティを「AI駆動」へとアップデートした真意はどこにあるのか。開発における変更コストが大幅に下がる世界において、彼らが新たに提示する「AX(AIトランスフォーメーション)コンサルティング」は、顧客にどのような価値をもたらすのか。
本稿では、同社 代表取締役社長 吉積礼敏氏、取締役CTO 高野遼氏へのインタビューにくわえ、2025年12月5日に開催されたユーザー会およびハッカソンの模様を通じて、同社が描くAI時代の新たな常識を紐解いていく。
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(右)クラウドエース株式会社 代表取締役社長 吉積礼敏氏
(左)クラウドエース株式会社 取締役CTO 高野遼氏
"変更コストほぼゼロ"時代における、SIerの役割転換
クラウドエースがリブランディングに至った背景には、生成AIがもたらす不可逆的な変化への深い洞察と、時代のスタンダードを超えて自らを進化させ続けるという揺るぎない覚悟があった。
──なぜこのタイミングでリブランディングを行い、「AI駆動」を掲げたのでしょうか?
高野氏: 生成AIの台頭によって、世界はもはや従来の延長線上にはありません。もともとクラウドエースは、Google Cloudという先端技術にベット(投資)し、市場を牽引してきた会社ですが、生成AIがもたらす変化は事業の拡張というレベルでは収まりきらず、我々の存在意義や働き方そのものの再定義を求めています。この自己変革こそがリブランディングの本質であり、いま我々が挑むべき最大のテーマです。
吉積氏: かつてクラウドがハードウェアをソフトウェア化し、インフラの柔軟性を飛躍的に高めたように、現在の生成AIはシステム開発における「力の入れどころ」を劇的に変えようとしています。
これまでは「どう作るか(実装)」に多大な時間を費やしてきましたが、仕様変更や修正に伴う膨大な工数——つまり「変更コスト」の壁が劇的に低くなったことにより、「何を作るか(構想)」と「どう改善するか(検証)」に全力を注げるようになるからです。
これまでGoogle Cloudのスペシャリストとして市場を牽引してきた我々は、このパラダイムシフトを重く受け止めています。
アイデアを形にして市場に問い直す「試行錯誤のスピード」が勝敗を決める今、開発を含む業務プロセスをAI駆動へとシフトし、ビジネスサイクルを圧倒的に加速させることは、企業の生存戦略そのものです。
そこで我々は、Google Cloudのプロフェッショナルという原点を守りつつ、お客さまがAI時代の真の勝者となるため、「我々が提供すべき価値」そのものを見直しました。AI駆動による圧倒的なスピードを武器に、お客さまのビジネス・アジリティを高め、絶え間ない進化を促すパートナーへと、自らの存在意義をアップデートする道を選んだのです。
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クラウドエース株式会社 代表取締役社長 吉積礼敏氏
AI駆動開発の本質とアジャイルな探究心
開発における「変更コスト」の大幅な低下という、SIの歴史上類を見ない転換期を迎え、「AI駆動」という言葉が急速に注目を集めている。しかし、その定義はまだ曖昧だ。AIによるコーディング支援を指す場合もあれば、完全自律型のエージェント開発を指す場合もあるなど、現時点ではその解釈に幅がある。
一方、クラウドエースが提唱する「AI駆動」のスタイルは、単なるツールの導入や効率化という次元を超えている。彼らが目指すのは、開発プロセスのあり方そのものを根底から変える、真の意味でのAIネイティブなアプローチだ。最大の特徴は、ドキュメントによる合意形成という従来の重厚なプロセスを脱ぎ捨て、動くもの(プロトタイプ)を最優先する点にある。
──クラウドエースが定義するAI駆動開発とは、具体的にどのようなものでしょうか。
高野氏: キーワードは、圧倒的な反復(イテレーション)です。これまでのアジャイル開発でも1〜2週間単位のスプリントで反復を行ってきましたが、AI駆動開発ではそれが1日に数回、もっと言えば数分単位でも可能になります。この圧倒的な回転数こそが、ビジネスの試行錯誤を加速させる最大の武器になるのです。
吉積氏: 人間が頭の中で設計してからコーディングするのではなく、「まずは作って試して、正解を模索する」というアプローチですね。
高野氏: ソフトウェアは正解がいくつもあり、目に見えるものでもないため、実は顧客も開発者も"本当に欲しいもの"を事前に明確にはわかっていません。だからこそ、超高速に作って、壊して、また作る。生成AIによって作るコストが劇的に下がった今、重要なのは正解のないなかで高速に試行錯誤し、本当に欲しかったものを探索し、最短で見つけ出すことです。これが、AI駆動開発の本質です。
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クラウドエース株式会社 取締役CTO 高野遼氏
──AI駆動時代へシフトしていくなかで、活躍できるエンジニア像にも変化はありますか?
吉積氏: 大きく変わりますね。これまでは、頭の中で完璧に設計してからコーディングに向かう能力が重視されていました。しかしこれからは、正解がわからないなかでもとりあえず試してみることができる、アジャイルな探究心を持つ人が輝く時代です。
クラウドエースとしては、失敗を経験することも含めて挑戦を楽しみ、AIとともに新しい価値を素早く生み出していける人が理想でしょうか。そして、我々のミッションである「正直を仕事にする」を体言し、お客さまと誠実な対話を重ね、本当に必要な技術を提案できる人材を求めています。
高野氏: スキル面で言えば、"抽象と具体の意訳"ができる人ですかね。「こういう機能が欲しい」というオーダー(=抽象)に対し、AIエージェントを使って具体的な成果物に落とし込む。この隙間を埋めるフレーミング力が重要になります。また、現場の方々と対話しながら、AI導入への抵抗感を解きほぐしてポジティブに進めていけるコミュニケーション能力も、これまで以上に大切になります。
自らが実験台となる「AXコンサルティング」と、新しいものを試す文化
AI駆動の思想を具現化するサービスとして、クラウドエースは2026年1月より新たに「AXコンサルティング」の提供を開始した。これはAIツールの導入支援にとどまらず、AIエージェントが労働力として機能する未来を見据え、人間とAIが協働するための組織・業務プロセスの再設計まで踏み込むものだ。
──AXコンサルティングの狙いについて教えてください。
吉積氏: 近い将来、人間とAIエージェントが協働する世界、さらに言えば、1000のAIエージェントが業務を回し、人間がそれを監督する世界が確実に訪れます。人間とは特性の違う、24時間365日働けるエージェントがいかにパフォーマンスを発揮できるか、そのための業務設計や組織づくりが不可欠になります。これを支援するのがAXコンサルティングです。
もっとも、この領域での確立されたノウハウはどこを探しても見つかりません。ならば、自分たちが道を作るしかない。まずは我々自身を検証の場として、AI駆動の開発や業務プロセスを泥臭く追求しています。自社のあらゆるタッチポイントで「ここまで変わるのか」という感動を自分たちが体験していなければ、お客さまにその可能性を語る資格はないと考えているからです。
高野氏: 当社としても、開発部門だけでなく、営業やバックオフィス業務もAIエージェント前提で再設計する必要があると考えており、販売管理や請求管理などの業務をAIエージェント前提で再構築するプロジェクトがすでに進行しています。既存の業務フローをすべてAIに置き換えようとするのではなく、「AIエージェントがいるなら、業務はどう変わるか」とゼロベースで設計していくことが重要です。一部のバックオフィス部門からは「やり方がわからない」と戸惑う声も上がりますが、組織横断でプロジェクトを推進できるCoE(Center of Excellence)のような組織を設置し、全社一丸となって取り組んでいます。
──「まず自分たちが変わる」という文化が根付いているのですね。
吉積氏: そうですね。創業当初から、新しい技術が出たらすぐに社内で試す文化があります。たとえば今、社内には「ボイスコーディング」専用のブースまで設置しているんですよ。
高野氏: タイピングだとどうしても思考が遅くなるし、面倒で指示を端折ってしまうことがあります。でも、ブースに入って声で「ここをこう直して、こういう意図で。あ、でもここはこうしたいと思っている」とタイピングなら省略してしまうような頭の中の考えをそのままAIに話しかけると、コンテキストがリッチになり、AIの出力精度が劇的に上がるんです。そうすると対話的な開発が実現し、やり取りがより自然になっていくんです。こうした実験的な取り組みを通じて、AIと人間の最適な協働の形を常に模索しています。
吉積氏: 我々はAIエージェントを新しい労働力として本気でカウントしていますから、人間は人間にしかできない創造的な仕事に集中してほしい。優秀な人が市場価値を落とさず、思う存分新しい技術で遊びながら働ける環境を用意して待っています。だからこそ、社員総会では「来年は、人間が抱えてきたタスクをAIエージェントへ徹底的に委譲し、AI主導で業務が回る組織へと進化しよう!」というメッセージを出しました。AI駆動により組織の生産性も大きく高まりますから、将来的には週休3日を目指そうという話もしています。
高野氏: 私たちは、AIエージェント前提の働き方を自社プロジェクトでも日常的に実践しています。クラウドエースと協働することで、AIと人間が補完し合いながら開発を進めるAI駆動のワークスタイルを、まさに現場で体験していただけるはずです。こうした取り組みは、社内のAI人材の強化にも直結していますし、パートナーとして関わる方々にとっても新しい学びや発見につながると思いますね。
実践の場「生成AI駆動ハッカソン」で見えたAI駆動の現在地と可能性
クラウドエースが培ったAI駆動のノウハウは、決して机上の空論ではない。12月5日、クラウドエースは自社のユーザー会と併催で「生成AI駆動ハッカソン」を実施した。顧客企業とクラウドエースのエンジニアがチームを組み、さまざまなAIツールを駆使してわずか数時間の実装時間でプロトタイプを作り上げるというものだ。
たとえばあるチームは、社内フリーアドレス化に伴う課題を解決するシステムを開発。AI搭載のUIデザイン生成ツール「v0」でUI仕様書を生成し、AIコードエディタ「Cursor」で実装を行うという連携により、UI作成に3時間、実装に2時間、合計わずか5時間で動くアプリケーションを完成させた。また別のチームはAI搭載のデザインツール「Figma Make」を活用し、コードを書く前にUI/UXのデザインからシステムの実装を導き出すアプローチでプロトタイプを短時間で構築するなど、従来では考えられないスピード感で開発を進めた。
──ハッカソンの手応えはいかがでしたか?
吉積氏: やはり体験に勝るものはないと実感しました。「こんなに短期間で作れる」と口で言うより、実際に目の前で動くものができあがる衝撃は大きかったです。参加者の皆さまも「ここまでできるのか」と驚かれていました。
高野氏: 一方、組織や人によって「AI駆動」の解像度が違うことも浮き彫りになりました。「AIに指示して関数を書かせること」程度に捉えている方もまだ多くいらっしゃいます。しかし、今や仕様策定から実装までをAIエージェントが行い、人間はそれを監督するフェーズに入っています。ハッカソンを通じて、その可能性を肌で感じていただけたのではないでしょうか。
なお、今回のユーザー会では、クラウドエースが外部公開に先駆けて新タグライン「すべての瞬間で感動を呼ぶ」を発表した。このタグラインが示すマインドセットはハッカソンの現場でも体現されていて、参加者がAI駆動開発のスピードと可能性を肌で感じることで、同社が掲げる「AI駆動による新常識」が単なるスローガンではなく、実践的な価値であることが示された場でもあった。
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クラウドエース ユーザー会 生成AI駆動ハッカソンの様子
AI駆動がもたらす、かつてない感動とビジネス変革
「すべての瞬間で感動を呼ぶ」——。新タグラインには、テクノロジーによってビジネスの常識が覆り、新しい技術が価値に変わる瞬間を目の当たりにしてほしい、という想いが込められている。そうした心が動く瞬間こそが、クラウドエースが提供したい価値だ。
──最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
吉積氏: 日本のIT生産性の低さや、新しい技術に対する受容性の低さを危惧しています。我々はこれまでもこれからも、「ゲームチェンジを起こす」「常識を変える」と可能性を感じる技術を誰よりも早く試し、本当に良いと思ったものだけを正直にお届けします。そうすることで、お客さまの競争力を引き上げるお手伝いをしていきたいですね。
高野氏: 新タグラインにある「感動」には、早くて安くて高品質というだけでなく、「今までできなかったことができるようになる」という驚きが中心となっています。クラウドエースは先端技術を使ってよりクリエイティブな「感動」を提供したいんです。我々に声をかけていただければ、常に認識が拡張されるような体験ができる。そんな期待を持っていただきたいです。
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