説明を行う三洋半導体 ハイパーデバイス事業部 パワーデバイス開発部の北平部長

三洋半導体は2009年9月10日、他励起型スイッチングレギュレータICの新製品として、可変出力を実現した「TN8D01A」と「TN5D01A」を発表、記者説明会を行った。

各種電子機器において、システムの高効率化のために電源電圧の高電圧化が進む一方、セット内部においては、機能の多様化により、各々の機能を制御するための電源系統が複雑化するとともに、マイコンやメモリの大容量化によって、電源には低電圧で大電流、高効率が求められるようになってきている。特にリチウムイオンバッテリを用いたセットでは入力電圧の高電圧化にともなったDC/DCコンバータの高耐圧化、セット製品の小型・薄型化に伴って電子部品にもますます小型化が求められている。

このような要求に対応するため、2製品はDC57Vの高入力電圧から、2.7Vの低電圧を安定出力できる、さらに出力電圧を2.7Vから24Vまで自由に調整できる可変出力タイプとなっている。また、従来、大電流の低出力電圧を設計するために必要であった補正回路を、外付けから内蔵に変更することで、ノイズの影響を抑えて出力電圧を安定化した

大電流・低電圧出力のための技術。これにより低電圧(2.7V)と8A(TN8D01A)という大電流出力の両立を可能にした(TN5D01Aは5A出力)

可変出力タイプにすることにより、マイコン、モータなどさまざまな用途にも1機種で対応することが可能であり、ユーザは在庫数量の削減、設計の自由度を高めることができる

可変出力タイプのユーザメリット

また、配線抵抗を考慮して出力電圧を微調整することで、各種デバイスに対して最適な電圧を供給することができるようになる。これによりシステムの設計に際しての負荷を低減することができるようになる。さらに、過電流検出機能付きMOSFETを取り込むことで、出力の約5000分の1の電流で過電流の検出を可能にすることで、抵抗成分による損失を削減することで高効率化を実現した。TN8D01Aは57V入力、8A出力で高効率92%を達成している。

このようにMOSFET、コントロールIC、過電流検出抵抗などの周辺部品の取り込みにより、部品点数を16個から8個へと50%削減、部品実装面積を3分の1にまで縮小している

電源構成による部品点数50%削減

2009年10月からサンプル出荷、12月から量産を開始する予定。サンプル価格はTN8D01Aが800円、TN5D01Aが500円。ピーク時で月産50万個の生産を計画している。電動自転車、プロジェクタ、マルチファンクションプリンタなどでの使用が期待されている。