文化庁は9月4日、平成20年度「国語に関する世論調査」の結果を発表した。同調査は、「日本語を大切にしているか」、「人とのコミュニケーションについて」、「読書について」、「情報機器と言葉について」など、国語に関する意識に加えて、カタカナ語の認知度・理解度・使用度や慣用句等の言い方・意味について調べたもの。以下、主要な調査結果をピックアップする。
「漫画や雑誌を除いて1か月に何冊くらい本を読むか」という問いに対する回答は、トップが「読まない」(46%)で、第2位が「1、2冊」(36.1%)、第3位が「3、4冊」(10.7%)となった。年齢別では、20代~50代で「読まない」と答えた人はそれぞれ4割程度であるのに対し、16~19歳では4割台後半、60歳以上では5割台半ばとなっている。
さらに、「自身の読書量が以前に比べて減っているか、増えているか」を尋ねたところ、「減っている」が64.6%、「それほど変わっていない」が25.3%となり、「増えている」と答えた人は8.6%にとどまった。
「毎日の生活に必要な情報を何から得ているか」という問いに対する回答(選択肢の中から3つまで選択可能)は、トップが「テレビ」(86.0%)、第2位が「新聞」(76.6%)、第3位が「パソコン(インターネット)」(29.8%)となった。過去の調査結果(平成13年度調査)と比較すると、「テレビ」は7ポイント、「新聞」は11ポイント、「雑誌」は11ポイント減少している一方、「パソコン(インターネット)」(平成13年度調査では「インターネット」)は17ポイント増加しており、また、13年度調査では選択肢になかった「携帯電話」が12.1%となっている。
同調査では、対象者を2つのグループに分け、双方合わせて計60のカタカナ語を挙げてその認知度・意味の理解度・使用度を尋ねた。過去の調査結果(平成14年度調査)と比べると、「モチベーション」「モニタリング」「アイドリングストップ」「インサイダー」などのポイントが大きく上がっている。
また、「手をこまねく」「時を分かたず」「破天荒」「御の字」「敷居が高い」の5つの言葉について、どのような意味で使っているかという調査が行われた。「手をこまねく」の40代を除くすべての年代において、本来とは違う意味をと答えた人の割合が本来の意味を選んだ人の割合を上回った。なかでも、「時を分かたず」と「破天荒」における差が大きい。
5つの言葉の正しい意味
- 手をこまねく→何もせずに傍観している
- 時を分かたず→いつも
- 破天荒→だれも成し得なかったことをすること
- 御の字→大いに有り難い
- 敷居が高い→相手に不義理などをしてしまい行きにくい
5つの言葉について間違いが多かった意味
- 手をこまねく→準備して待ち構える
- 時を分かたず→すぐに
- 破天荒→豪快で大胆な様子
- 御の字→一応納得できる
- 敷居が高い→高級過ぎたり、上品過ぎたりして、入りにくい