第2回口頭弁論

以上の経緯を経て、第2回口頭弁論が9月1日に東京地裁で開かれた。裁判長が、改正薬事法に関して国会で付帯決議がなされたか被告側に質問した後、以下のようなやり取りが行われた。

原告 「準備書面(2)」について回答をいただきたい。

被告 昨日いただいたばかりで検討している。

原告 配置販売業許可の件や、経過措置の不合理性についても書いているので、ぜひ回答をいただきたい

被告 どこまで反論しなければいけないのか。(原告側に求めている憲法論の補充が原告によってなされた後、それに対する回答とともに)まとめて回答すればいいのではないか。

原告 できないということか。

被告 反論する必要はない。

原告 回答してほしい。

裁判長 回答してほしい。

被告 一月半はかかる。

裁判長 求釈明に関する回答は9月25日までに可能か。

被告 9月30日までには。

裁判長 準備書面(2)への回答はいつまでできるか。

被告 10月9日までには。

その後、被告側が求めた、原告側の憲法論の補充に関しても、原告側が10月9日までに回答することが決められた。

口頭弁論の第3回期日については、10月20日にすることで、原告、被告で合意が得られた。

第2回口頭弁論の後、原告側は東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見を行った

弁論後、ケンコーコムら原告側は、東京・霞が関の司法記者クラブで、記者会見を行った。弁護士の関葉子氏によれば、原告側が被告側に示して回答を求めている「準備書面(2)」は以下のような内容となっている。

  • 改正薬事法後の状況を見ても、店頭での販売に大きな改善は見られない。他方で、原告らには大きな損害が発生している。

  • 経過措置の不合理性として、離島以外で店頭に出向くのが困難な利用者などは救済されない。また、事業者にとっては、継続使用者の判定は著しく煩雑で、コストがかかる。システムを入れ替えようにも、2年のみの時限措置で無意味である。

  • 省令は他の制度と不均衡である。例えば、薬事法では店頭において、第1類医薬品でも購入者が不要とすれば、情報提供は不要とされている。また、特例販売業許可、配置販売業許可は、既存業者であれば登録販売者すら不要で第2類の販売が可能となっている。

また関氏は、同書面において「本人にメールで薬の購入を頼まれた代理人が医薬品を買うことが省令で認められている一方、本人が電子メールで医薬品を購入できないとするのはおかしいのではないか」という趣旨の求釈明を行ったことも説明した。

関氏は、第2回口頭弁論について、「裁判長も、準備書面(2)にはできるだけ具体的に回答してほしいと述べていた」とし、今後の法廷での議論に期待を示した。

ケンコーコム社長で日本オンラインドラッグ協会理事長の後藤玄利氏は、「省令施行後の3カ月間で、当社の医薬品の売上は激減している。2010年3月期の売上予測も、売上高で5億円、利益で1億円下方修正した。また、薬局店舗で郵便などでの医薬品の購入ができるか試験購入してみたが、日本薬剤師会の幹部が経営する薬局も含めて、購入することができた。これは明らかに違法行為であり、極めて遺憾である」と述べた。

日本オンラインドラッグ協会会員で医薬品・健康食品ECサイト「健康食品店ウェルネット」を運営するウェルネットの尾藤昌道氏は、「毎月、医薬品の購入を求める新規顧客を断っている状況で、極めて重大な事態と受け止めている。家族経営の店なので、(売上が落ちることは)家族に対して大変負担をかけている」と窮状を述べていた。

次回口頭弁論までの間、原告側の提出した「準備書面(2)」に対し、厚生労働省がどのような回答をするか、注目される。