システコシステムズ テクノロジー担当 シニアディレクターの木下剛氏

シスコシステムズは7月7日、同社のグリーンITソリューションに関する説明会を実施した。

発表を行ったシステコシステムズ テクノロジー担当 シニアディレクターの木下剛氏は、同社のグリーンITソリューションを「データセンターにおけるエネルギー消費削減」「建物全体のエネルギー消費削減」「オフィスIT環境のエネルギー消費削減」「ワークスタイル変革によるエネルギー消費削減」の4つに分類して説明。同社のネットワーク製品群がさまざまなシーンでCO2排出量削減につながることを紹介した。

電力効率の高いFCoEでデータセンター効率化

シスコでは、「Data Center 3.0」という構想の下、「自動化」「仮想化」「統合化」によるデータセンターの革新を提唱している。その中には「Energy Efficient Data Center(EEDC)」と呼ばれる概念があり、電力消費の効率化に向けた提案も行っている。

EEDCにおける核となるのが、同社が「ユニファイドファブリック」と呼ぶ、FiberChannel over Ethernetを活用したネットワーク効率化ソリューションだ。なかでも強調されたのが、SFP(Small Form-Factor Pluggable)対応のTwinax銅線ケーブルを用いて電力消費量を削減している点。10Gbの伝送を片端0.1W未満で行え、Cat6ケーブルの10GBASE-Tと比べて約1/80、Cat6a/7ケーブルの10GBASE-Tと比べて約1/40にまで電力消費量を減らしているという。

ユニファイドファブリックによる統合の例

照明/空調の電力制御

4つのソリューションのうち、最も大きな効率化が期待できるとされたのが「ビル全体の効率化」ソリューションである。

木下氏は、まず、調査会社のレポートを引用し、オフィスビルにおけるエネルギー消費量の内訳を見ると、照明と空調が69%を占め、IT機器は25%に過ぎないことを紹介。そのうえで、シスコでは、「Cisco Connected Real Estate」というソリューションにより、無駄な照明/空調を停止できると説明した。

具体的には、照明や空調をIPネットワークにつなぎ、シスコのルータ上で照明/空調の制御機能や電力使用量測定/表示機能を統合。人感センサーなども設置して、人がいない部屋の照明/空調を自動的に落とすといったことも実現しているという。すでに、東京大学工学部などが導入済みで、「都内No.1のCO2排出量を記録している同大学のグリーン化に貢献している」(木下氏)という。

東京大学工学部の導入事例

オフィスの端末をポリシーベースでコントロール

オフィスIT環境のエネルギー消費削減という点では、「Cisco EnergyWise」が紹介された。

EnergyWiseは、ネットワークに接続された端末への電力供給をコントロールするための技術。各端末の電力消費量をビジュアライズしたうえで、ポリシーに従って端末の電力を制御することができる。ドメインベースで管理できる点が大きな特長で、例えば、複数のビルを管理する場合に、取締役の部屋の端末は常にアクティブな状態にしておくといったことも可能だという。また、対策を施したときの効果を予測するシミュレーション機能も用意されている。

なお、EnergyWiseは、今年1月に発表されたばかりの技術で、現在はフェーズ1という段階にあり、PoE(Power over Ethernet)で電源供給されるIP電話や無線LANアクセスポイント、IPカメラが管理対象となっている。

ドメインごとにポリシーを設定して端末を制御することが可能

テレプレゼンスなどでワークスタイルの変革を後押し

ワークスタイルの変革という点で取り上げられたのが、テレプレゼンスやWeb会議などの遠隔地とのコミュニケーション技術と、「Cisco Connected Workplace」という概念である。

シスコでは、すでに世界中の拠点461ヶ所にテレプレゼンスの設備を設置。累計196億円の出張旅費削減を実現している。移動距離や交通手段を基にCO2排出量削減効果を算出すると、その量は年間約3万7000トンになると言い、グリーン化を推し進めた大きな事例として紹介している。

さらに、同社では、Cisco Connected Workplaceというコンセプトを打ち出しており、従業員がどこでも好きな場所で仕事を行える環境の構築を提案している。これは、無線LAN/IP電話を活用したフリーアドレスのオフィスや、社外から安全かつ快適にネットワークにアクセスが可能な、移動しなくても仕事ができる環境を構築することを意味する。これにより、スペースの有効活用やIT機器/ケーブル数の削減、移動に伴うCO2排出量削減を促していくという。

シスコにおける導入効果