--以前、あなたにインタビューをした2007年からBIの世界は大きく変わりました。この業界の変化はMicroStrategyにとってどんな意味をもっていますか。

2007年から比べて大きく変わったことは2つあります。ひとつはほとんどの独立系BIベンダが大企業に買収されてしまったこと、もうひとつは世界的な景気後退です。

HyperionがOracleに、CognosがIBMに、そしてBusinessObjectsがSAPに買収されたことで、BI業界の外観は大きく変わりました。それとともにMicroStrategyのビジネスの方針も大きく変わったのは事実です。ですが、我々はこれをチャンスとして生かしてきました。なぜならプロダクトの品質とエンジニアリングによりフォーカスすることが可能になったからです。たとえばBOを傘下にしたSAPが、BOの製品とSAPの製品を統合することにかけるエネルギーやコストは莫大なものです。にもかかわらず、それは顧客にとってのメリットを生み出すものではありません。単に統合したというだけです。彼らが統合にかける労力を、我々はそのまま製品の品質向上に当てることができました。

これらの大企業が今後、買収した企業の技術をいかに取り込んでいくかが、業界にとっては非常に重要になってくるでしょう。ただしそれが顧客のメリットに直結するかどうかは疑問です。

景気の悪化自体は決して良いことではありません。そして景気後退が進めば、顧客は製品のコストを見るようになります。ですが単に製品の導入コストだけではなく、プロジェクト全体のコスト、トータルコストを考慮すべきです。プロジェクト全体のコストは見過ごされがちですが、顧客に提案する際には、その点を強く訴える必要があると感じています。

幸いなことにMicroStrategyの財政基盤は非常に強固で健全です。コングロマリット系の企業と比較して独立系BIベンダである我々の立場を弱いとするアナリストもいますが、そもそも企業としての成り立ちが大きく異なるので単純な比較は意味がありません。ほとんどのエグゼクティブの任期が10年以上に渡っていますが、ソフトウェア企業としては(良い意味で)かなり稀なケースでしょう。

今後は、独立系BIベンダとして20年間培った技術力をベースに、市場の動きに迅速に対応できるような体制を作っていくつもりです。