NECは、Si基板上でのGaNトランジスタを用いた車載レーダシステム向け76GHz帯送信アンプの動作を実証したことを明らかにした。
同アンプは、安価なSi基板を採用したGaNトランジスタを採用しており、既存のGaAsトランジスタに比べて低コスト化が見込めるほか、最大発振周波数160GHzの動作周波数と55Vの耐圧を実現しており、車載レーダシステムに必要とされる出力性能をカバーしている。
また、Si基板上での誘電損失の影響を抑えるコプレーナ路線を採用。これによりSi基板の特性が引き起こす高周波信号の減衰を抑制した集積回路を実現している。
されに、Si基板上の窒化物半導体トランジスタに特有の発熱、高周波信号の損失に考慮し、ミリ波領域まで対応可能なGaNトランジスタ大信号モデルと受動回路モデルを開発。これにより信号増幅器として高出力・広帯域な性能を実現したという。
同アンプは、プロセスサイズは0.15μmを採用。周波数帯は75~81GHz、ミリ波出力15~25mW、利得6~9dB、チップ面積1.5mm×1.0mm2となっている。
なお、同社では、今後も送信アンプを始めとした各種の機能集積回路の設計・評価を行い、車載レーダシステムの3年後の実用化に向け、研究・開発を推進していく計画としている。