米IBMは6月23日(現地時間)、リチウムイオン電池に比べて10倍のエネルギーを蓄えられる、充電可能なリチウム空気電池の開発を加速する研究プロジェクトを発表した。同社では、同技術がスマート・グリッド(次世代送電網)の実現や電気自動車の普及などの可能性を持っているとしている。

米IBMのアルマデン研究所

IBMリサーチは8月26日・27日、IBMのアルマデン研究所で先進バッテリー・システムとエネルギー・ストレージの進化をテーマとするカンファレンス「Almaden Institute」を開催し、この取り組みを加速させる。

同研究所の科学者は、グリッド・スケールの効率的で手頃な価格の電気エネルギー・ストレージ・ネットワークについて複数年にわたり研究している。今後、実用可能なバッテリー・システムの中でも最大のエネルギー密度を持ち、従来のリチウムイオンのシステムよりも安全かつ充電可能なリチウム空気システムに取り組む予定。

同社がバッテリー技術の研究に重点的に取り組むことになったきっかけは、2006年11月に発表したエネルギー効率化を実現するための事業「Big Green Innovations」である。同事業は、同社のオンラインブレーンストーミングセッション「InnovationJam」から生まれた10個の新ビジネスの1つで、水管理、代替エネルギー、カーボン・マネジメントに注力してきた。

同社は業界のリーダー、学識者などと協力して同研究に取り組んで生み出される知的財産をライセンスする予定であり、電池を製造する意向はない。