NTTファシリティーズは6月16日、産業技術総合研究所(産総研)、九州大学(九大)、千葉大学(千葉大)、長崎大学(長崎大)の4者と共に、それぞれが対等な立場で参画するミニ・コンソーシアムを構築し、次世代データセンタが必要とする、SiCを用いたパワーエレクトロニクス技術の応用研究に着手することを発表した。

NTTファシリティーズおよび産総研、九大、千葉大の4者は、2008年から共同で次世代データセンターに対応した給電システムと、そこで必要とされる高パワー密度電源回路技術や半導体遮断器の小型化、多機能化技術に関するフィージビリティ研究を進めてきた。同研究は、一定のめどを得ており、新たに長崎大を加え、各専門領域の研究者がより密な連携を図る産学連携ミニ・コンソーシアムを構築することで、次の研究ステップとなる応用研究に着手することにしたという。

具体的には、次世代データセンタに対応した新給電システムで求められる高パワー密度電源回路技術として、NTTファシリティーズ、産総研、九大、長崎大の4者がデータセンタ向け高電圧直流給電用整流装置の電源回路について、SiCデバイスの採用と、それぞれの技術を持ち寄ることによって従来の約10倍の高い電力密度を目指す。これにより、高電圧直流給電用整流装置の電力変換部は従来比で約1/10の小型化が見込まれるという。

また、NTTファシリティーズ、産総研、千葉大、九大、長崎大の5者で高電圧直流給電用直流半導体遮断器に対しそれぞれの技術を持ち寄り、小型化、多機能化を目指すという。これは、産総研が開発したSiC静電誘導型トランジスタ(SiC-SIT)を用いることで、直流遮断器内の半導体スイッチ部を従来の約1/10に小型化するとともに、電流遮断時の過渡電圧変動の抑制など多機能化(インテリジェント化)の実現が見込まれるという。

これらの研究は、実証に向けた要素技術確立の取り組みであり、同コンソーシアムでは2013年に同研究成果を用いた実証実験を開始するべく研究を行っていくとしている。