『QuarkXPress 8公認ガイドブック』(弊社刊)

数回に分けて展開している「QuarkXPress 8」徹底攻略。今回も「QuarkXPress 8公認ガイドブック」(弊社刊)の筆者のひとり冨山詩曜が、「3.3」、「4.1」などの旧バージョンのユーザー向けに、QuarkXPress 8の便利なチップスを紹介する。8回目となる今回は、QuarkXPress 8のジョブジャケット機能について解説したい。

QuarkXPress 8のジョブジャケット機能

QuarkXPress8の新機能「ジョブジャケット」は、「リソース管理」と「レイアウトの評価」の、大きく2つに分かれる。

例えば、雑誌編集にはスタイルシートが付きものだ。あるとき「クォークゴシック」というフォントが発売され、ある重役の目に留まったとしよう。そして、今回の号からフォントを替えるようにとの至上命令が下り、編集スタッフたちは既存の本文用スタイルシートをすべて変更することになった。そして事件は起きる。徹夜で若干プッツンとなったスタッフが、ある記事だけスタイルシートを書き替え忘れ、しかもそれは校正の目をくぐり抜け(彼らは記事の内容だけを必死に校正していたに違いない)、発売されてしまったのだ!

雑誌の中のひとつの記事だけ別のフォントが使われていても、それは読者にとって全く問題ない。しかし、「クォークゴシック」を押した重役からすれば、これは大問題なのだ。とは言え、この例は社内の内輪もめにしか発展しないからまだいいが、このフォントを勧めたのが有力クライアントだったらどうだろう。恐ろしい失敗ではないだろうか。

ジョブジャケットマネージャーを使えば、QuarkXPressのいろいろなリソースを管理できる

ジョブジャケットマネージャーには複数の編集モードがあり、より使いやすい方法を選択することが可能になっている

ブック機能やテンプレートを利用してリソースの統一を図ることが出来るが、その方法は書籍には良くても、毎号編集して行く雑誌には向かない。こうした状況においてこそ、ジョブジャケットが活用できる。この雑誌編集にもし「リソース管理」機能が正しく使われていたら、誰かが一度、本文用スタイルシートを書き替えるだけで良い。それだけで、他の編集スタッフたちがごく普通に編集しているデータ中の本文用フォントが、すべて「クォークゴシック」になるのだ。

もうひとつの「レイアウトの評価」機能は、プリフライトに使える。例えば、インク量360%以上のベタは、インクが乾かなくなるので通常は印刷できない。これが厚紙になると300%でも危うくなったりする。そんなとき、「レイアウトの評価」機能を用いて、プリントするときに自動的にインク量を評価し、300%以上のところがあれば警告するように設定できる。その他にも、あるサイズより小さな文字が使われていたら警告する、傾いているボックスがあったら警告する、などなど。レイアウトを評価するための要素は、かなり自由に設定できる。

レイアウトを評価するためのダイアログ。評価に失敗した場合、その理由、問題箇所を特定できる

ジョブジャケットには、あらかじめ決めておいたレイアウトの仕様(マスターページ情報、ページ数、サイズ、ブリード幅、スポットカラーの有無など)に基づいた新規プロジェクトを作成する機能もある

ジョブジャケットは仕事の効率を上げ、安全性を増すパワフルな機能だ。だが、なかなか理解するのは難しいかも知れない。そのため『QuarkXPress 8公認ガイドブック』では、これにかなりのページを割いて、詳細解説している。

QuarkXPress 8公認ガイドブック

今回は、QuarkXPress 8のジョブジャケット機能にまつわるチップスを紹介。QuarkXPress 8は、実際の操作はもちろんのこと、ワークフローも見据えた、全体的な効率アップを前提にしている。自社にスムーズに導入活用するにはどのように使っていけばいいのかお悩みの方は、「QuarkXPress 8公認ガイドブック」をぜひ手に取ってほしい。QuarkXPress 8をフルに活用するために必携の本書は、新機能の紹介はもちろんのこと、3.3、4.1ユーザのための移行テクニックや、ワークフロー解説なども盛り込まれた幅広いコンテンツで、ユーザをトータルにサポートする作りとなっている。「そんなの知ってることばかり」という方もご安心を。QuarkXPressのカラー管理やXMLがベースとなる新機能ジョブジャケットや、Flashデータを書き出すインタラクティブレイアウトなどについて、きちんと触れているのは本書だけ。まさに、QuarkXPress 8の特徴を網羅した解説書となっている。