IDC Japanは5月27日、 2009年3月に国内企業1,094社に対して実施した「国内インフラストラクチャソフトウェア・ミドルウェア利用実態調査」に関する調査結果を発表した。

2009年3月時点の会計年度を基準として、2008年度と比較した2009年度のパッケージソフトウェア投資の増減率見込みを調査した結果、「減少する」と回答した企業は全体の29.9%となり、そのうち「10%以上の減少」とした回答が13.0%を占めた。「増加する」と回答した企業は18.4%で「減少する」を大きく下回った。

業種別に見た場合、製造業や通信・情報サービス業では気後退の影響でパッケージソフトウェアに対する投資を抑制する傾向が強まり、反対に流通業では不況下においても積極的に投資を行っていくと、同社では分析している。

主要なインフラストラクチャソフトウェア・ミドルウェア製品であるデータベース管理システム、アプリケーションサーバ、運用管理ソフトウェアを利用している企業に、それぞれの運用で抱えている問題点を調査した結果、共通して「社内エンジニアのスキル不足」と「ライセンスコストの負担」が上位2つの回答に挙がった。これより、企業では、スキル不足からソフトウェアの運用と活用がうまくいっておらず、ライセンスのコストがIT費用を圧迫しているという現状にあるとしている。

x86サーバにおける仮想化の実施状況は、「ハイパーバイザー型仮想化ソフトウェアで実施」が全体の7.4%、「ホストOS型仮想化ソフトウェアで実施」が15.6%となった。ハイパーバイザー導入時に最も重視した目的は「ハードウェアコストの削減」が32.0%と最も多く、その次に「既存アプリケーション資産の継続利用」(12.0%)、「設置スペースの削減・縮小」が10.0%と続き、主に即効性のあるコスト削減のためのソリューションとして導入されていることがわかる。

一方、ハイパーバイザーの運用で抱えている問題としては、「仮想マシン数が増えすぎて管理が複雑になっている」(32.0%)、「仮想マシンに割り当てるリソースの管理が難しい」と「障害発生時に問題の切り分けが迅速にできない」(26.0%)と、仮想マシンの管理に関する問題が上位に挙がっている。また、「仮想マシン上でのアプリケーションの動作検証に時間がかかる」が30.0%、「仮想マシン上でのアプリケーションの動作保証・サポートが明確でない」が26.0%と、仮想環境上におけるアプリケーションのサポートに関わる問題も多くなっている。これより、今後はハイパーバイザー導入後の仮想環境の運用にかかるコストやサポートが新たな問題として浮上してくると、同社では指摘している。

ハイパーバイザー型仮想化ソフトウェアの運用で抱えている問題 資料 IDC Japan