パフォーマンス - 「ネットワーク」と「電源」に強み

「事実上のデファクトスタンダード」という同社のc-Class(写真はc3000エンクロージャ)

「性能やネットワーク、アーキテクチャなど、どの要素を切り出しても当社が一番高い評価になると思う」という話を裏付けるように、ブレードサーバの出荷台数ベースではすでに国内トップクラスのシェアを占めるようになった同社。まだまだ検証フェーズにある企業が多い仮想化技術についても、「実運用を前提に(積極的に)ブレードサーバを導入してほしい」とのことで、豊富な導入実績に裏付けされた性能に対する自信のほどが伺える。

特にネットワークに関しては、1枚のブレードで8ポートまで搭載できる拡張性と「オンボードで10Gbps対応は当社だけ」という性能の高さが評価されているという。さらに、ネットワークの仮想化機能「バーチャルコネクト-Flex10」を使うと論理的に24ポートまで拡張可能となり、100Mbps~10Gbpsの範囲で帯域を任意で設定できる柔軟性も持ち合わせている。

主にオフィスビルへの設置用途として注目を集めている100V電源対応だが、一般的にサーバ用インテル製CPUの仕様を踏まえると200V対応製品と比べて性能は落ちる。しかし同社は「100Vでの"フル(性能)対応"はHPだけ」と言うように、性能にこだわって多額の投資を行い、「フル対応+小型化」を実現した100V電源の開発に成功している。

サポート - 事実上"業界標準"の安心感

シャーシ(HPでは「エンクロージャ」と呼ぶ)に関して「ベンダーは未来永劫同じアーキテクチャを使いたいと考えているが、各社ともこの点では苦しんでいる」という。しかし同社はそんな中でも「隙間ができるのを好まない」日本のユーザーを意識した「6U=8台」のコンパクトなシャーシや、「業界唯一」と言われるタワー型のシャーシを提供し、PCサーバからの移行に対する敷居を下げる工夫をしている。

また同社には、「ほぼ"世界で2台に1台はHP製品"であり、ブレードサーバにおける事実上のデファクトスタンダード」という自負がある。業界の基準にもなっている「10U=16台」というシャーシのサイズも、もともとはHPが決めたものだそうだ。さらに、シスコシステムズがc-Classの規格に合わせて製品を開発しているという点や、「パーツの取り置き契約」も用意されているなど、部品供給に関しては、スケールメリットを生かした安心感が得られるようだ。

HPの"売り"は何か? - 一歩先行く「先進性」と「性能」

同社によると、「エンクロージャ側に様々な機能を持たせると、結果として管理が複雑化する傾向がある」とし、多くのベンダーは「バックプレーン(シャーシ)に依存する"第2世代"のブレード特有の悩みを抱えている」という。しかし同社はブレード側にサーバ、ストレージ、テープ、ネットワークといった機能を持たせて高機能化する"第3世代"のアーキテクチャを展開し、システム全体としてのパフォーマンスを確保している。

この"第3世代"の最大のメリットは「SASやPCI Express、Infinibandなどの高速信号流せる」ことであり、"第2世代"では、「サーバを入れることを前提に作っており、EthernetやFCなどの低速信号しか流せない」ものも多いという。

「運用面でのメリットなど、各論で勝負する戦略もあると思いますが、当社は総論で勝負できる強みがあります」

同社は仮想化技術に取り組み始めた時期も比較的早く、「3年ほど前からセミナーを開催していますが、現在でも毎回満席になるほど盛況です」とのこと。実運用での導入実績も豊富であり、性能面での不安もないという。

「要件にもよりますが、高集積という最終目的を考慮すれば、電力効率という要素を加えても、もはや『ブレードかラックか』といった議論は意味をなさないと思います」

「仮想化」について

-積極的にブレードサーバで実現してください

-回答者-
日本ヒューレット・パッカード(HP) エンタープライズ ストレージ・サーバ事業統括 ISSビジネス本部 サーバプロダクト・マーケティング部
木村剛氏
ブレードサーバによる仮想化技術の実装に自信を持つ同社だが、気になるWindows Server 2008の「Hyper-V」の現状については……「VMWareは高根の花」と考える中小企業にとって、比較的安価に仮想化を実現できる選択肢として導入が進んでいるという。「仮想化技術のすそ野を広げるものだと考えていますが、VMotion(ライブ・マイグレーション)機能がHyper-Vにも搭載されれば、既存のVMWareユーザーにとってもリプレースの対象になってくるでしょう」とのことだ。

『出典:システム開発ジャーナル Vol.9(2009年3月発刊)
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