1983年当初はMS-DOS向けだったものが進化し、現在の「LeySerシリーズ」はスタンドアローン型、クライアント/サーバ型、ASP型という3種類のサービスが存在する。ASPサービスが開始されたのは2003年のことだ。

「スタンドアローン型やクライアント/サーバ型のソフトウェアは売り切りですが、ASP型は使用許諾を結ぶ形になります。販売側の姿勢として、売って終わりではなく毎月収益が発生する形になります。また、ユーザー側でも専任の管理者を置く必要がなく、すぐに使い始められるという意味で、ASP型サービスにはメリットがあります。この2点からASP型サービスが開始されました」と中村氏は語る。

しかし現在、ASP型サービスは約700校、1200ライセンスの利用にとどまっている。提供者側にも利用者側にもメリットのあるASP型サービスが浸透しない理由として、中村氏は法的な問題を挙げた。

「個人情報の取り扱いについて、法律が未整備だという問題があります。文部科学省からの規制でも個人情報の取り扱いについては明文化されておらず、各教育委員会等の解釈にゆだねられている部分があります。そのため、成績データ等を学外に置けないという場合も多くあるのです。会計データは監査法人がアクセスする必要があるので問題ありませんが、学校のバックエンド処理をすべてASPやSaaSに移行させるのは難しい状況なのです」

法規制に関しては今後の整備が期待されるが、将来的には公立校を中心に都道府県単位でのASPサービスが展開されることになりそうだという。

「昨年から公立校向けの普及活動も行っていますが、公立校は私立以上に文部科学省や教育委員会の規制が強いことに加えて、インフラが整っていないという問題を抱えています。今後ICTの普及が進められた上での導入ということになるとは思いますが、その時には教育委員会にサーバを設置してのASPという形になるのではないでしょうか。都道府県単位で必要となる資料や帳票の形式も違っていますし、統一してのサービスは難しいでしょうね」と中村氏は語った。