政治家事務所のインターンシップで学生の政治認識変化
モデレーターの楠氏はこれまでの議論について、「ネット選挙の部分のみではなく、公職選挙法全体として考えていく必要がある」と総括。さらに、オバマ大統領が米国で動かしたとされた「サイレント・マジョリティ」のテーマについてパネリストに意見を求めた。
田中氏は、「2005年の郵政選挙は、サイレント・マジョリティが動いた一例だが、これは小泉純一郎氏による映像ジャックによるもの。日本がマスメディア依存であることを示したもので危険性もある。オバマ大統領の場合は、ネットがマスメディアを超えたが、日本はまだ超えていない。この問題を皆で考えていかなければならない」と述べた。
佐藤氏は学生のインターンシップ経験に関し、「20代の投票率は低いが、政治離れしているわけではない。政治家の事務所でインターンシップを経験した学生は、ほとんどが『こんなに一生懸命政治活動をやっているんだ』と感動する。マスメディアが政治家の不祥事やスキャンダルをニュースにすることが多いため、政治家がいつも悪いことをしているイメージがあるのがギャップの原因だと思われるが、政治に対する影響力を行使するべきだということは常に学生に言っている」と述べた。
河野氏はマスメディアと政治の関係に関し、「湘南国際マラソンの話になるとブログに多くの反響があるが、政策の話になるとあまり反響がなく、その面ではマスメディアにとられてしまっている。また、ネットでは事実関係をきちんと調べていない情報を信じてしまう人が多い一方、マスメディアが取り上げる話題は限られている。マスメディアとネットの特色をうまくとりいれていく必要があるのではないか」と述べた。
「ブログで有権者の声どんどん発信を」
鈴木氏も「マスメディアは、政党が対立するようなことはよく取り上げるが、超党派でやったいい事はあまり取り上げない。こうしたネタを裏取りしてきちんと報じてくれるようなネットメディアが成熟するかが重要だ」と話した。
モデレーターの楠氏は、「ネットの中でこつこつと発信していくことに可能性があるという点で、共通認識ができたのではないか」と述べ、今後のネットメディアへの期待を表明した。
最後に、今回のイベントの仕掛け人の西村氏が、パネルディスカッションを聞いていたブロガーらに対し、「皆さんがどんどんブログを書くことで、政治に対して声をどんどん出していってほしい」と呼びかけた。
鈴木氏は「情報の裏取りをするためには私達にどんどんメールしてほしい。ネット民主主義を作っていこう」。河野氏も「選挙期間中以外の3年11カ月や、地方選挙も大切。ブログでどんどん取り上げて、議論してほしい」と訴えた。
19時に始まったイベントは、予定時刻の21時半を超えて22時すぎに終了。終了後もパネリストと聴衆が話し合う光景も多く見られ、「政治とネット」に対するブロガーらの関心の高さを裏付けるものとなった。