自民党政務調査会の選挙制度調査会は21日、総会を開き、公職選挙法の見直し案である「公職選挙法の見直しに関する報告案」を選挙制度調査会執行部から提案した。同案では、インターネットでの選挙運動について、ホームページの使用を解禁するなどの案が盛り込まれており、今後議論を深めていく予定だ。

現在の公職選挙法では、法で定められたビラやはがき、マニフェスト(政権公約)などを除いて、「文書画面」の頒布が禁じられている。ホームページなども文書画面の頒布とみなされているため、選挙期間中は候補者や政党はホームページの更新はできない。

こうした現状について、選挙制度調査会が実施した同党議員らを対象としたアンケートでは、「全面的に解禁するのが当然」「電子メールも解禁すべき」などの意見が出ていた。

今回選挙制度調査会執行部から提案された見直し案では、「現行の選挙運動規制は、今日の社会経済情勢の変化に対応したものとなっていないとの指摘がある」とした上で、「公職選挙法が制定された1950年当時と比べて、インターネットの普及など情報通信の飛躍的な発達など社会経済情勢も大きく変化している」と見直しの方向性を示している。

その上で、見直し事項の1つとして「インターネットを使用した選挙運動の解禁」を提案。2005年に選挙制度調査会の中に設けられた「インターネットを使った選挙運動に関するワーキングチーム(WT)」が2006年5月にまとめた最終報告書案に沿った見直し案を提示した。

具体的には、「掲示板などへ意見を送信する場合にメールアドレスを表示する」などのひぼう中傷対策を講じた上で、「ホームページに限り解禁する」といった内容となっている。また、「地方選挙など全ての選挙を対象に、立候補者や政党以外の第三者によるホームページ使用も認める」などの案も盛り込まれている。

一方、インターネットを利用した選挙運動に関しては、民主党が2006年の第164回通常国会で議員立法を提出しており今国会でも継続審議中。ホームページだけでなく、電子メールやブログなどインターネット媒体全般に関して解禁する内容で、これらを使って選挙運動をする者には、氏名とメールアドレスの表示を義務付けている。

自民党選挙制度調査会の事務局を務める山崎善晴氏は、「選挙制度調査会の総会は党所属国会議員なら誰でも参加できるようになっており、今回の見直し案を基に今後さまざまな議論を行っていきたい」と話している。