Vice President, Advanced Microcontroller Architecture DivisionのMitchel Obolsky氏。(PIC18などのハイエンド8bit PICと16bit PICが氏のカバー範囲だそうだ) |
米Microchipは、「nanoWatt XLP」と呼ばれる省電力8/16bitマイコン3品種を4月23日に発表した。この発表に先立ち同社は20日に都内で記者発表会を行い、同社のMitchel Obolsky氏(Photo01)が新製品の概略や詳細を説明した。
同社は2001年からnanoWattシリーズと呼ばれる省電力マイコンシリーズを提供しているが、今回のnanoWatt XLPシリーズはこのラインナップの最新製品にあたり、待機電力やタイマーの消費電力を劇的に下げたものとなる(Photo02)。
例えば煙探知機などは20年にわたってバッテリー動作することが求められ、また定期的に空気の状態を探る必要があるから、タイマーがきちんと動作する必要がある(こうした用途に耐える製品がnanoWatt XLPファミリーの目的とされた) |
従来はnanoWattシリーズとしてPIC16/18をベースとした製品をラインナップしてきたが、今回はPIC18に加えて16bitのPIC24もラインナップに加えられた(Photo03)。では、従来のnanoWattシリーズとの違いは何か? というと、Deep Sleepのサポートである(Photo04)。これは単なるSleepよりもより深い待機状態となるもので、この結果例えば復帰までに要する時間はただのSleepよりも長くなる(そのため、応答時間が非常にクリティカルなアプリケーションには向かない)といった欠点はある反面、Deep Sleepに入っている間の待機電流を大幅に削減できるというメリットがある。
実際MicrochipはこのDeep Sleepによる待機電流の削減にかなり自信があるらしく、競合製品との比較も意気込みを感じるものに(Photo05)。特にTIのMSP430との比較に関しては、このような(Photo06)評価ボードを持ち歩き、PIC24のDeep Sleepにおける消費電流(Photo07)とMSP430のLowest Sleep Mode(Photo08)における消費電流を実際に見せて廻っているそうだ。
Obolsky氏によれば「これは各社が低消費電力と謳っている製品を集めた」との事だが、8bitから32bitまで混じっていて、ちょっと比較に無理がある気も |
これは何か? というのは次に。何でも営業は全員このデモボードを持ち歩いて、お客様のところで結果を見せているのだとか。 |
左側は消費電流を測定するロジック部で、右がPIC24の評価ボード。実際の消費電流は(ちょっと見えにくいが)18nAとなっている |
こちらは106nAで、ほぼカタログスペック通り。ちなみにReal Time Clockを動かした場合とか、RAMの内容を退避しない(SRAMをDeep Sleepにしない)場合などの数字も示されたが、いずれもPIC24の方が少ない事が示された |
今回発表された製品の詳細はPhoto09~Photo11の通りである。また開発ボードも同時に発売開始とされるほか(Photo12~14)、開発環境などは従来Microchipが提供してきたものがそのまま利用可能とされる。
16bitのPIC24に、標準的な周辺回路を統合したPIC24F16KA。Kが付く事で判るとおり、Flashとは別に512バイトのEEPROMも搭載されるほか、mTouch用のキャパシティブセンサ用の回路も内蔵される |
8bitのPIC18をベースにしたPIC18F46J11。今回のラインナップでは一番汎用的なモデル |