岩谷産業はこのほど、純水素型の燃料電池を搭載した「移動式電源車」と専用の「水素トレーラー」を完成したと発表した。同車は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業"新利用形態燃料電池標準化等技術開発"の助成を受けて開発されたもの。

純水素型燃料電池を搭載した「移動式電源車」

「水素トレーラー」を牽引した状態

同車は、燃料として純水素を使用する10kW級の燃料電池を搭載。出力はAC100、AC200V、DC360Vの3系統を備え、各系統は同時に使用できる。電力供給までの起動時間は1分以内、騒音値は55dB以下。家庭用エアコン(6畳用)ではおよそ18台、40インチワイド液晶テレビでは70台程度への電源供給が可能とのこと。水素トレーラーには35MPaの充填容器を装備し、水素容量は100Nm3以上。同トレーラーからの水素供給により、16時間以上の定格連続運転が可能としている。

発電時には排気ガスの排出が無く、騒音・振動や二酸化炭素の排出もほとんど無いという。これらの特長により、屋内やトンネルなど閉ざされた場所での作業、イベントや住宅街での夜間工事、災害時の非常用電源などでの電源供給において利便性が高く、従来の電源車よりも有利とのこと。同社では、今後の試験的運用により実用化へ向けた改善を加え、2011年度の商品化を目指すとしている。

なお、同車は18日~19日に開催された環境イベント"アースデイ東京2009"で公開され、ライブとトークショーを行ったピースマイルステージで音響システム用に電源を供給した。

アースデイ東京2009で電源を供給している様子

車両内部の燃料電池