KDDIウェブコミュニケーションズ(以下、KDDIウェブ)は25日、ドイツJimdo GmbH(以下、Jimdo社)との業務提携により無料のオンラインホームページ作成サービス『Jimdo』日本語版の提供を開始。同日、ドイツ大使館にて両社そろっての発表会を開催した。

在日ドイツ大使館がバックアップしたこの発表会において、同公使 経済科学部長Peter Rondorf氏は、世界的に厳しい経済状況の中で「危機を脱していくためには日独の協力の間で生まれてくる新しい技術、新しいイノベーションが必要」だと述べた。

ドイツ大使館公使 経済科学部長 Peter Rondorf氏

KDDIウェブコミュニケーションズ 代表取締役社長 山瀬明宏氏

KDDIウェブ代表取締役社長の山瀬氏は、日本の人口が約1.3億、ドイツが約0.8億であるのに対し、ドメイン登録数は日本が約100万件、一方でドイツは約1,200万件に達しているという数字を挙げ、ホームページ(HP)作成に必要なスキルを支援するツール・サービスが日本には少ないと説明。これに対して同社では誰でも簡単にHPを持てることを目的とした「サーバの家電化」をコンセプトに掲げており、その答えの一つがJimdoであると述べた。

日独の人口比とドメイン登録数の比

Jimdoは簡単に言うと、高品質なWebサイトを誰でも手軽に「作れて」「運用できる」サービス。同社SMB事業本部の高畑氏は、これまで技術のない人がHPを持つことは「苦痛」であり、その障害は突き詰めると「スキルとナレッジ」であるという。WYSIWYGのオーサリングツールがあっても、「結局はツールを使う知識が必要」(同氏)だからだ。

これに対してJimdoは、ページ単位のクリエイトとサイト全体を管理するCMSを両方カバーしつつ、特別なスキルなしで利用できるサービスであると説明した。CGMの浸透により、一眼レフカメラや動画、テキストの発信力など個々人のコンテンツ力が高くなってきているが、現在はそれらを写真共有サービス、SNS、ブログなどバラバラに放出する形となっている。これらのいわゆる"Web2.0"的サービスを一つのプラットフォームに統合する"Web3.0"、というのが同社の考えるJimdoのサービス像だ。

ブログ、SNS、写真共有などのサービスをJimdoが統合

HPの制作から運営を幅広くカバーしながら、高いスキルを必要としないのが特徴

続いてJimdo社のChristian Springub氏により、同サービスのデモが行われた。Jimdoの最大の特徴は、閲覧者が見ているものと同じ画面を見ながら、ページを直接編集できるという点だ。まず、公開されているページの下部からログインし、編集したいページをナビゲーションで選択。ページ内はタイトル、テキスト、写真などのモジュールで構成されており、各モジュールにマウスを乗せると編集メニューが表示される。ここから、テキスト編集や写真の追加など、ワープロソフトを使うような感覚でページ編集ができる。

閲覧者側から見たページ

編集画面ではモジュールに編集メニューが表示

モジュールは見出し、文章、写真等の他、YouTubeやFlickrのコンテンツ、Google Mapsなども

同氏は「レゴブロックのように、コンテンツがモジュールの組み合わせで構成されています」と説明。編集終了後、下部にある「保存」ボタンを押した時点で、サーバ上に変更が反映される。ページ管理はナビゲーション部分で行う形になっており、新規作成・削除や階層構造をここで操作。ページごとの公開・非公開も設定できる。

ページの作成・削除、表示・非表示などはナビゲーション部分で設定できる

ヘッダ画像に重ねる文字のサイズ・色や位置などを直感的な操作で自由に編集

テキスト、写真等のモジュール部分の操作は、ブログサービス等を使ったことのある人ならすぐに馴染めるだろう。Jimboはブログ機能も搭載しているので、自分が開設したHP内でブログを運用することも可能だ。なお、公開承認や時間指定などの機能は無い。ロールバックは近日対応予定、EC対応は長期的に取り組む考えとのことだ。

Jimdo社 Christian Springub氏

Jimdo社 Fridtjof Detzner氏

続いてFridtjof Detzner氏より、Webデザイナーなどプロ向けのテンプレート編集機能が紹介された。既存サイトのHTMLやCSSをJimdoに貼り付け、モジュールを指定していくことで、レイアウトテンプレートをJimdoに"移植"できるという機能だ。ここではKDDIウェブコーポレートサイトのデザインをJimdoにインポートした。

既存サイトのコードをJimdoのテンプレート作成画面へ

元のサイトと同じデザインを保ったまま、Jimdoへ移植

Jimdoのサービスラインアップは、個人向けで最大500MBを無料で利用できる「Jimdo Free」と、月額945円で5GB、独自ドメインやメールアドレスも使える「Jimdo Pro」の2種類。Proは、個人事業主などの利用を見込んでいるという。1年後までに合わせてユーザー30万アカウントの獲得を目指す。同社では、さらに機能を追加した「Jimdo Biz」を今年中のリリースを目標に進めていく考えを示した。

「Pro」の利用料の他、追加メールアドレス等の有料オプションが収益となる

「Pro」は主に個人事業主、「Biz(仮称)」は主に中小企業がターゲット

Jimdo社 Matthias Henze氏

Jimdoは2007年2月に設立され、日本語版を含めて現在8言語でサービス提供中。同サービスに登録されたHPは約60万件に達している。Jimdo設立者の一人であるMatthias Henze氏は、今回の日本での事業展開について「プロフェッショナルなパートナーと提携できることをうれしく思っている。また、日本のユーザーからどのような評価を受けられるか、楽しみにしている」と語った。

同社ではプロモーションの一環として、クリエイターを対象にオリジナルデザインのポートフォリオサイトを募集する「Jimdo Design Contests」を開催。現在応募を受け付けている。