富士通は、名古屋大学が運営する情報連携基盤センターの次世代スーパーコンピュータシステムを受注したことを明らかにした。同センターは、同大学の教員や各種研究機関、企業の研究者などが学術研究などのために利用する全国共同利用施設。

同センターでは、これまで2005年3月に導入した富士通製スーパーコンピュータ「PRIMEPOWER HPC2500」を活用してきたが、近年増加する大容量メモリを必要とする大規模演算と多くのCPUを必要とする並列演算という異なる2つの利用ニーズに対応するため、演算処理性能を向上させるとともに、より多くの利用者に並列計算の技術を広げるため、アーキテクチャの異なる3種類の演算サーバで構成する複合型システムへの刷新を決定した。

新システムは、UNIXサーバ「SPARC Enterprise M9000」、テクニカルコンピューティングサーバ「HX600」、ハイエンドテクニカルコンピューティングサーバ「FX1」という異なる3種類の演算サーバからなる複合型システムでありながら、富士通のHPCミドルウェア「Parallelnavi」「HPCポータル」「運用管理ポータル」により、利用者がアーキテクチャの違いを意識することなく1システムイメージで利用することができるように統合されているのが特長。

UNIXサーバは、大規模SMP型演算サーバで、SPARC64 VIIを搭載し、総ノード数は3(96CPU、384コア)、総メモリ容量3TBで理論ピーク性能3.84TFLOPSとなっている。

テクニカルコンピューティングサーバは、大規模分散並列型Linux演算サーバで、オープンスーパーコンピュータの仕様を採用。OSにLinuxを搭載した大規模PCクラスタシステムで、総ノード数160(640CPU、2,560コア)、総メモリ容量10TBで理論ピーク性能25.6TFLOPSとなっている。

ハイエンド・テクニカルコンピューティングサーバは、大規模分散並列型UNIX演算サーバで、FX1は、SPARC64 VIIとバランスの取れた高いメモリバンド幅を実現するチップセット、システムの性能を最大限に引き出すための高性能コンパイラにより、既存のマルチコアCPUのシステムでは実現困難な非常に高い実行効率の計算を可能にする。総ノード数は768ノード(768CPU、3,072コア)、総メモリ容量24TBで理論ピーク性能30.72TFLOPSとなっている。これにより、3システム全体の理論ピーク性能は60TFLOPSとなる。

また、新システムでは、ディスクアレイシステムに総物理容量1.15PBの「ETERNUS2000 モデル200」が導入されることが決定している。

なお、新システムは2009年5月と同10月の2段階での稼働開始を予定している。