富士通は、4月から同社の79事業所および富士通グループ53社276事業所、近隣の10工場で、ペーパーリサイクルシステムを開始する。対象となるのは、全国の営業所、支社、支店、SE拠点などオフィスが主体。これらは、富士通グループの6割の事業所に相当するという。

今回のリサイクルシステムの対象となるのは、主にオフィイス

富士通では、3年ごとに環境行動計画を作成しており、2009年度は2007年度から始まった第5期の行動計画の最終年に当たる。この計画の中では、2009年度までにすべての営業所において、グリーンファクトリーまたはグリーンオフィスのレベルを星2つ以上にするという目標が掲げられており、今回のシステムはその目標に向けた施策の1つ。

富士通では、グリーンオフィス評価制度を設け、達成レベルを星の数により3段階に分類している。そして、星2つレベルの要件には「産業廃棄物、一般古紙、機密文書のゼロミッション」がある。

富士通グリーンオフィス評価制度

富士通 環境本部 環境企画統括部 統括部長 巧網道徳氏

富士通 環境本部 環境企画統括部 統括部長の巧網道徳(たくみ みちのり)氏は「ゼロミッションについてはこれまでゆるやかにやっていたが、なかなかうまくいかなかった。今回改めてチャレンジしてみたい」と語る。

今回のペーパーリサイクルシステムでは、これまで未達成だった機密文書の20%、一般古紙の30%のリサイクル化(2008年5月現在)を実現するほか、事業所ごとに異なった方法での回収方法を統一、小ロット回収による無駄を省き、コスト削減を図る。

これまでの回収の課題とペーパーリサイクルシステムの回収方法

具体的には、全国を10の地域に分割し、地域ごとにリサイクル業者を選定。回収頻度、回収時期を統一した巡回回収を実施する。富士通では、全国展開に先立ち長野地区で先行トライアルを実施、回収費用を5分の1以下にすることが確認できたという。

全国を10地区に分割し、それぞれの地区でリサイクル業者を選定

機密文書の回収に際してはセキュリティレベルを確保するため、機密文書を運ぶパレットをカバーで覆い、中に手が入らないような仕組みを採用するほか、ロックを正常に解除しない場合ブザーが鳴る仕組みを取り入れる。また、輸送トラックは、現金輸送車レベルのセキュリティを確保する。

機密文書に対するセキュリティ

さらにITを活用したトレーサビリティシステムを構築し、機密文書の回収から抹消までを一元管理し、情報漏えい防止を行うという。

新たにトレーサビリティシステムも構築