「生物大使」に任命された忽那汐里さんは、国際生物学オリンピック参加者と同年代の16歳

止まらない若者の"理科離れ"に一石を投じることができるのか - 「進化論」を唱えたチャールズ・ダーウィンの生誕200年にあたる今年、世界の高校生が生物学の知識を競う「国際生物学オリンピック」が日本で初めて開催される。代表となる高校生4名はすでに昨年12月に選抜されており、初の金メダル獲得を狙って、同年代の生徒たちと覇を競う。同オリンピック組織委員会は普及促進活動にあたり、ダーウィンの誕生日前日である2月11日から開催日の7月12日にかけて、「未来のダーウィンをめざせ!」と冠したプレイベントを展開、タレントの忽那汐里(くつなしおり)さんを「生物大使」に任命し、さまざまなプロモーション活動を行っていく予定だ。

国際生物学オリンピックは今年で第20回目を数える大会で、参加者は各国4名以内の高校生に限られる。日本初開催となる今回は、7月12日から19日の8日間に渡って茨城県つくば市で行われ、約60カ国から240名の生徒が参加する予定だ。主催は、国際生物学オリンピック 2009 組織委員会、国立大学法人筑波大学、財団法人日本科学技術振興財団の3者。組織委員会委員長は、京都大学名誉教授の井村裕夫氏が務める。

忽那さんに「生物大使」任命証を渡す井村裕夫委員長

井村委員長は、「ダーウィンの生誕から200年、『種の起源』が発行されてから150年という節目にあたる今年に、日本で記念すべき大会を開催できることは非常に喜ばしい。日本は2005年の北京大会から参加しているが、残念ながら満足できる成績を収めるに至っていない」と語る。同オリンピックでは、理論および実験試験の成績を総合評価して、成績上位から約10%、20%、30%の参加者にそれぞれ、金メダル、銀メダル、銅メダルを授与している。過去4回の成績は通算で、金0、銀4、銅9というもので、米国や中国、韓国などに大きく差をつけられている。ダーウィン生誕200年というアニバーサリーイヤーに、ぜひとも初の金メダルを獲得したいところだ。

また、プロモーション活動の顔となる「生物大使」に忽那さんを選んだ理由として、「広く全国の人々、とりわけ若年層に生物学の楽しさを伝えていきたい。オリンピック参加者と同年代で、中学生や高校生に好感度の高い忽那さんは、国際生物学オリンピックへの共感を醸成する生物大使に適任」(井村委員長)としている。忽那さんはオーストラリア育ちのバイリンガルでもあり、「世界各国の参加者とのコミュニケーションを積極的に図ってもらいたい」と同委員会は期待している。

きれいな英語で参加者に激励の言葉を贈る忽那さん。「好きな動物は?」の質問には「Platypus!」と回答、会場が一瞬"?"に包まれた(クリックするとQuickTimeによる動画が始まります)

こちらは日本語で激励のメッセージ。ちなみにplatypusとはカモノハシのこと(クリックするとQuickTimeによる動画が始まります)

忽那さんは「最初、お話をいただいたときは"生物学なんてすごく難しそうで、自分にできるのかな"と思いましたが、今はとてもうれしく思っています。オーストラリアにもたくさんの珍しい動物がいるので、そういった動物の紹介もしていけたらいいですね」と、新たなチャレンジにも意欲を見せる。今後は上野動物園の1日園長(3月20日)を務めるなど、同オリンピックを広く認知してもらうべく、さまざまなプロモーション活動に参加していく予定だ。

同オリンピック組織委員会では、プレイベント期間中、日本代表生徒や過去のメダリストによるトークショウ、国立科学博物館内でのスタンプラリー、ダーウィン生誕200周年記念講演会などを通じ、"生物学のおもしろさ"を伝えながら、同オリンピックに向けて気運を醸成していきたいとしている。

忽那汐里フォトコレクション