社長就任後、初の減収減益となった大塚裕司社長

大塚商会は、2008年12月期の連結業績を発表した。連結売上高は前年比0.5%減の4,671億5,400万円、営業利益は9.9%減の270億8,900万円、経常利益は9.5%減の276億2,800万円、当期純利益は23.8%減の143億7,100万円の減収減益となった。システムインテグレーション事業の売上高は前年比4.7%減の2,664億7,600万円、サービス&サポート事業は6.1%増の1987億6,100万円、その他の事業は、19.2%減の19億1,600万円となった。

大塚商会単独決算のうち、主要事業であるMROの売上高は前年比7.1%増の924億3,800万円、そのうち、「たのめーる」事業は8.1%増の891億9,200億円、SMILE事業は1.1%減の68億5,800万円、ODS21は1.7%減の376億5,000万円、OSM事業は8.7%増の434億4800万円だった。複写機の販売台数は4.3%減の2万9,288台、うちカラー複写機は2万595台、サーバは2.0%減の3万5,014台、パソコンは5.7%増の50万8,967台となった。

大塚商会では、2008年度のスローガンを「お客様の目線で信頼に応え、お客様と共に飛躍する」とし、独自開発の顧客管理および営業支援システム「SPR」の機能強化を図り、複写機、コンピュータ、FAX、電話機、回線などの組み合わせによる、コスト削減や生産性向上につながる複合提案、総合提案を推進したという。また、情報セキュリティ関連ビジネス「OSM」、ナレッジマネジメントシステム「ODS21」、統合型基幹業務システム「SMILEシリーズ」、オフィスサプライ通信販売事業「たのめーる」、サポート事業「たよれーる」に引き続き注力し、地域密着型営業体制の強化による営業効率の向上やサポート体制を強化することで、システム開発品質と生産性の向上を実現したという。

2008年12月期決算の概要(連結/単体)

売上高および利益の状況

セグメント別売上高。青い部分がシステムインテグレーション、黄色がサービス&サポート

大塚商会が展開する事業

だが、その一方で、上期に原油および原材料価格の高騰、ドル安や株安などの影響を受けて景気が後退局面となったのに加え、下期には、9月の米国リーマン・ブラザーズの経営破綻を契機とし海外経済が減速し、第4四半期以降はIT投資の抑制傾向が一段と強まったことが影響した。

大塚商会の大塚裕司社長は、「年初にお約束した計画については未達、前年割れの実績となった。上期時点では増収増益を達成したが、10月 - 12月の業績が予想以上に悪化したことが影響した。公表値を下回ったことに社長として責任を感じる」と語った。

また、「IT活用ニーズは潜在的に高いが、IT投資は抑制、先送りの傾向がある。また顧客単価ダウンの影響もある。上期は、1ユーザーあたりの単価が116万4,000円であったものの、下期は96万6,000円と下がっており、投資意欲が減少している。だが、SPRの活用により、取引件数は1.6ポイント上昇している。見積もり6.8%増加して、ビジネスチャンスを広げる努力をした。これが単価ダウンをカバーできなかった。ただ、現場はがんばってくれたと認識している。地域密着型営業体制の強化をより進め、IT投資に意欲的になところに対する総合提案、複合提案を行っていく」とした。

たのめーるの顧客数は62万6,932件となり、前年に比べて6万件増加している。「これが当社にとってドアオープナーとなる件数。1年間で新規顧客が6万件増加したことは心強い」とした。

また、ストックビジネスとしているサプライおよび契約保守売上高は42.1%へと上昇している。

顧客の規模別では、年商10億円未満が前年比で58億円の減少、10 - 100億円未満が9億円の増加、100億円以上の企業が44億円の増加と、中小企業における投資意欲の減少が顕著に見られているという。

業種別ではサービス業が37億円減少、卸売業が29億円減少となっているのが縮小幅が大きい。

一方、2009年度の連結業績予想は、売上高が4.3%減の4,470億円、営業利益が31.7%減の185億円、経常利益は31.2%減の190億円、当期純利益は35.6%減の92億6,000万円の減収減益計画とした。

システムインテグレーション事業の売上高見通しは10.6%減の2,383億円、サービス&サポート事業が4.0%増の2,067億1,000万円、その他事業が3.9%増の19億9,000万円とした。

2009年度以降の売上/利益の計画

セグメント別の売上高計画

重点戦略事業であるMROの売上高は前年比6.0%増の980億円、そのうちたのめーる事業は6.5%増の950億円、SMILE事業は0.6%増の69億円、ODS21は0.9%増の380億円、OSM事業は10.5%増の480億円を予定している。

複写機は2.3%減の2万8,600台、うちカラー複写機は前年並みの2万600台。サーバは前年並みの3万5,000台、パソコンも前年並みの50万9,000台とした。

重点戦略事業の状況

重点戦略事業の計画

大塚社長は、「基本方針は変えない。また中期計画では、営業利益率、経常利益率をともに7%を目指す。77万社にのぼる既存顧客との取引継続および深耕によって、1回のお客様を一生のお客様にする努力する。厳しい環境が続き、景気回復は2011年頃まで見えないと考えている。だが、売り上げが伸びないときには、IT投資によって会社を強くしていく提案が行えるチャンス。私が、社長になって初めての減収減益の計画だが、次の成長に向けた準備の年にしていきたい」とした。

同社では、中期経営計画の最終年度となる2011年12月期における売上高で4,750億円、営業利益が202億円、経常利益で207億円、当期純利益で112億8,000万円を目指すことを明らかにした。そのうち、システムインテグレーション事業の売上高見通しは2,328億円、サービス&サポート事業が2,404億円、その他事業が18億円と、サービス&サポート事業の伸張を計画している。

同社では、新規ビジネスとして、LED照明の本格的な取り扱いを開始することを示し、「LED電球は、白熱電球や電球型蛍光灯よりも長寿命であり、消費電力を削減でき、明るさも向上できる。ビジネスチャンスがある領域。通常タイプのLED照明に加えて、街路灯、トンネル灯、防爆灯といったLED照明製品も取り扱っていく」(大塚社長)とした。

新規ビジネスとしてLED照明を取り扱っていく

LED照明を手にする大塚社長

またライオン事務器とも提携し、オフィスデザインサービスに乗り出していることも公表した。

大塚社長は、「コピーやサーバ、パソコンといった事業だけでなく、オフィスにかかわるあらゆる領域のビジネスを、パフォーマンスを変えずに、ソリューションとして語れる形で取り組んでいく。ストックビジネスの究極の姿として、オフィスが必要とするものをパズルのピースを埋めていくように広げていく」として、新規ビジネスの拡大に意欲を見せた。