韓国のSamsung Electronicsが、2008年第4四半期の実績を発表した。これによると、本社基準での売上額は18兆4,500億ウォン(約1兆1,842億4,928万円/1ウォン=0.0641円)で、前期比4%減、前年同期比では15%増となり、営業損失は9,400億ウォン(約603億3,573万円)となった。また2008年通期の連結売上額は118兆3,800億ウォン(約7兆5,984億5,145万円)となり、2007年と比べて23%増となった。

実績が大きく下落した半導体部門

売上額などを部門別で見てみると、半導体部門の本社基準の売上額は3兆9,200億ウォン(約2,516億1,283万円)で前期比18%減、前年同期比5%減。4大部門の中でもっとも売上額が大きく落ち込むこととなった。これと同様、営業利益率もマイナス14%と大きく減少している。

不振の理由としてSamsungでは「季節的には繁忙期だが、景気停滞による需要萎縮・供給過多でDRAMの価格が前期に比べ急落。NAND型フラッシュメモリも前期より価格下落が続いている」と、厳しい状況であることを明らかにした。

ただし営業利益率がマイナス14%となったことについては、「主要な競合他社の大部分が40%以上の幅で赤字となることが予想され、これら企業との格差や市場占有率は拡大する」とも述べている。

2009年の市場状況も、需要予測が不透明と予測する同社。そんな中で 同社では「2GビットDDR2、1GビットDDR3など、次世代製品を強化」「SSDのラインナップを強化」「大容量MoviNANDなど差別化製品に注力する」といった3つのポイントの強化を目標とする。技術力で他社との格差を広げ、リーダーシップを発揮する機会としたいと述べている。

不況の中でも強い通信部門

同社の中で売上額・営業利益率ともに上昇している唯一の部門は通信部門だ。本社基準の売上額は7兆7,300億ウォン(約4,961億6,512万円)で前期比13%増、前年同期比27%増となっている。営業利益は1,600億ウォン(約102億6,991万)で営業利益率は2%だ。

この部門に貢献しているのは携帯電話だ。携帯電話のみの売上額は6兆9,400億ウォン(約4,454億5,746万円)で、前期比14%増となっている。

携帯電話全体の市場は萎縮傾向にあるものの「タッチスクリーン携帯、スマートフォン、新興市場向け携帯が好調」という好材料が、史上最大規模の販売量を支えているようだ。

2009年も景気停滞により、携帯電話の販売量が減少することが予想されている。これに対して同社では「マーケティング費用節減を通じた、営業利益率改善」「地域別の戦略モデル強化」「事業者と提携した効果的なマーケティング活動」といった戦略により、携帯電話販売量2億台以上を目指し、停滞する市場状況を乗り越えていく展望だ。

不況の中で差別化はかり、好景気に備える

このほかの部門としては、TFT-LCD部門と、家電製品などを取り扱うデジタルメディア部門がある。LCD部門の売上額は本社基準で4兆2,100億ウォン(約2,702億2,706万円)で、前期比12%減、前年同期比23%増となっている。デジタルメディア部門は売上額が2兆4,100億ウォン(約1,546億9,055万円)で前期比10%減、前年同期比20%増だ。

いずれも前期比の売上額や、営業利益率が減少となっているが、これにもやはり景気不振が影響している。

TFT-LCD部門においては、テレビ用大型パネルの、4半期別の販売量が600万台を突破することで、市場シェアを伸ばすという好材料があった。そのため2008年全体の営業利益は「史上最大」(Samsung)という2兆ウォン(約1,283億7,389万円)台を達成した。

第4四半期には営業損失を出してしまったデジタルメディア部門だが、2008年全体では1,100億ウォン(約70億6,056万円)の営業利益を記録した。これに貢献したのがデジタルテレビだ。同社では景気停滞の中でも、積極的なマーケティング活動を展開。その結果、プレミアム製品が伸びたという。

「2009年は、世界的な景気状況の不確実性がより深刻になる」と予測するSamsung。ただし下半期には景気回復のきざしが見えるとしており、その際に備えて競合他社との格差拡大に注力していきたいとしている。

部門別の売上額

部門別の営業利益