Samsung電子は、2007年第4四半期の実績を発表した。

半導体の下落が実績に影響

Samsung電子によると、2007年第4四半期における本社の売上は、17兆4,800億ウォン(約2兆89億4,853万円)で四半期別では最高値を記録している。営業利益は前期比14%減少した1兆7,800億ウォン(約2,045億7,255万円)、純利益は同1%増加した2兆2,100億ウォン(約2,539億9,178万円)になった。

同じく本社を基準とした2007年全体の実績では、前年比7%増の63兆1,800億ウォン(約7兆2,625億2,702万円)。同社によると、60兆ウォン(約6兆8,969億8,661万円)を突破するのは今回が初めてだという。また2007年の営業利益は前年比14%減の5兆9,400億ウォン(約6,310億7,425万円)、純利益は前年比6%減の7兆4,300億ウォン(約8,540億7,681万円)だった。

また連結決算を基準とした2007年の売上額は1,034億米ドル(約111兆2,687億4,465万円)を達成している。Samsung電子によると、韓国企業で売り上げが1,000億米ドル(約107兆6,100億294万円)を突破する企業はこれが最初であり、世界的に見てもこうした企業は、SiemensとHPしかないという。

部門別の売上額。上の円グラフが2007年の部門別売上額、下が2006年のもの

部門別の営業利益

気になるのは営業利益だ。これは2004年から継続して下落している数値となる。これは同社の主要事業である半導体の価格下落が一因というのが、一般的な見方だ。

半導体部門のみに絞ってみると、売上は4兆9,100億ウォン(約5,644億343万円)、営業利益は4,300億ウォン(約494億2,840万円)で、いずれも前期比2%、53%ずつ下落している。Samsung電子では「2006年から2007年にかけて、メモリ業者たちが攻撃的な投資を行った余波で、供給過多と価格下落に陥っている」と述べており、この状態は「(2008年)上半期まで続くだろう」と展望している。

それでも営業利益額と、9%となった営業利益率は「業界最大規模」(Samsung電子)とのこと。Samsung電子では「メモリの供給過多は上半期中は持続するだろうが、多くの競合他社は赤字となっており投資や生産に対して消極的となっている一面を考えれば、予想より早く好転するだろう」と見ており、それまでに「mobiNAND」「SSD」といった差別化された製品で競争に望んでいきたいとしている。

好調のLCDと通信

LCD部門における大型パネル販売量(上)と販売比重(下)。いずれも第3四半期と比べたもの

半導体とは別に好調だったのが、LCD部門と通信部門だ。

LCD部門の売り上げは、前期比11%増の4兆4,600億ウォン(約5,126億7,600万円)、営業利益は同37%増の9,200億ウォン(約1,057億5,379万円)だった。連結決算基準の営業利益も、前年比151%増の2兆1,100億ウォン(約2,425億4,401万円)を記録して初の2兆ウォン(約2,298億9,955万円)超となるなど、第4四半期の実績向上に寄与した。

好調の理由についてSamsung電子では「第4四半期は繁忙期のため、モニターやPC、テレビといった全品目の需要が急増した」と述べている。これら3つの部門で市場占有率1位も達成したという。とくに大型テレビパネルは、四半期別では最高の500万台を販売し、好調ぶりを見せている。

一方、通信部門の売上額は前期比6%増の5兆3,700億ウォン(約6,172億8,030万円)、営業利益は1%減少した5,800億ウォン(約666億7,087万円)となった。

2007年1年間の携帯電話販売台数は1億6,100万台、四半期別でも最高値という4,630万台にも達する。世界市場ではMotorolaを抜き2位の座についた同社だが、その地位をしっかりキープしているようだ。好調の理由として同社では「500万画素カメラ付き携帯などのプレミアム製品や、3G携帯電話の増加、欧州・米国と振興市場での販売好調」を挙げていた。2008年は「2億台以上の販売を達成したい」(Samsung電子)と、大台への挑戦を掲げている。

情報通信部門における、世界の地域別の販売比重(上)と、2007年の四半期別の販売量(下)。Samsung電子の携帯電話販売は、右肩上がりであることがわかる

このほかデジタルメディア部門の売り上げは1兆6,400億ウォン(約1,885億1,762万円)、営業利益は1,300億ウォン(約149億4,347万円)の赤字を記録している。ただし連結決算基準の営業利益は3,900億ウォン(約448億3,040万円)であるほか、同年間営業利益は1兆600億ウォン(約1,218億4,675万円)と、初の1兆ウォン(約1,149億4,977万円)超えを果たした。

好調のテレビは、テレビ全体/フラットテレビ/LCDテレビの3部門で市場占有率1位を達成。これに続き2008年は新たに進出したプリンタ部門にも力を入れると述べている。

また生活家電部門では、売り上げは8,600億ウォン(約988億9,357万円)、営業利益は300億ウォン(約34億4,977万円)の赤字を記録している。連結決算基準の年間営業利益は1,500億ウォン(約172億4,887万円)と、前年の赤字から黒字に転換した。

2008年の設備投資に関しては、グループ企業も合わせ全体で11兆ウォン(約1兆2,649億1,767万円)の予定。これは2007年よりやや多い水準だ。

売上額が上昇し、連結決算基準では1,000億ドルを突破するなどの快挙も成し遂げた一方で、営業利益の減少も目に付いたSamsung電子の2007年。明暗の両面が出た形となり、評価も分かれている。2008年はこうした現状を克服し、どれだけ安定した実績をあげられるかが課題となりそうだ。