前編では「Adobe Flash CS4」の新機能として、オブジェクトベースのアニメーション、インバース・キネマティクス、進化した3D表現について紹介した。後編では、FlashオーサリングツールとしてのFlash CS4に着目。インタフェースの新機能・改良点、強化された外部連携機能、3D関係を強化したAS3.0などを詳細レビューする。

プロパティパネル

もっとも、大きな変化は縦型レイアウトになったことだろう。増え続けるパネル類を小さく折りたたむことができたり、従来のようにドッキングしたりして、自分の作業しやすいようなレイアウトを作成し、保存することができる。従来よりも、その保存したレイアウトの変更が容易なので、積極的に切り替えたい。

パネルの位置や組み合わせは自由にできる。図は「初期設定」の状態で、左側にあったツール類がすべて右側に並んでいる

また、フィールドの数値はキーボードで打つだけではなく、マウスでドラッグすることでも変更可能(ホットテキスト)となった。これにより、数値入力のたび、キーボードに手を持って行く必要がなくなり、かなり作業効率が上がりそうだ。さらに、数値のフィールドでは、四則演算が可能になっている。座標をずらす場合などに、「+256」と追記すれば、計算結果の数値を入力したのと同じになる。

Y座標をドラッグで変更しているところ

X座標を計算式を直接入力して指定している

ライブラリパネル

CS4ではライブラリパネルに検索機能が備わった。ステージにあるものがどのフォルダ内にあるのかを知りたいときに、この検索機能を使用すれば、フォルダ名、シンボル名問わずフォルダ階層を無視して探すことができる。また、シンボルを複数選択して既存のフォルダへ移動させることが可能。プロパティ変更では、共通するプロパティだけを変更できるようになった。

検索フィールドがついたライブラリパネル

複数のアセットを既存のフォルダに移動することができる

オーサリング時でも圧縮した結果を確認できるステージ

従来、画像や写真などのグラフィック素材の圧縮結果は、ライブラリ内でのテストプレビューでしか確認できず、全体を見るためには、いったんSWF書き出し(ムービープレビュー)をするしかなかった。しかし、CS4のステージでは、オーサリング時でも圧縮した結果を確認できるようになっている。また、オーサリング時に、ステージ上にあるオブジェクトをドラッグすると、移動前のオブジェクトが半透明状態で元の位置に留まるため、元画像との位置比較ができるようになった。

ライブラリのビットマップのプロパティで圧縮設定をしたものは、オーサリング時にステージに反映される

ステージのオブジェクトをドラッグすると、移動前のオブジェクトが、半透明状態で残る

フォント選択機能

フォントファミリー(フォント名)とスタイル(Bold、Italicなど)を切り分けて設定できるようになった。それ以外にも、OpenType、TrueTypeの違いがわかるようにし、フォントサンプルが、すべてのフォントで同時に比較できる。

フォントファミリー、スタイルで指定する

すべてのフォントフェイスを実際に確認しながら、選択できる

シェイプやペンツールのスムーズの改良

シェイプをスムーズにする機能はWeb用にポイントを減らしたいときには非常に重要な作業。CS4からは処理の前後でプレビューができるようになった。

シェイプの最適化では、「シェイプ>最適化」を選択する

プレビューをチェックすると、最適化後の状態を確認できる

いつでもコミュニティヘルプが検索可能

オーサリング画面の一番右上(メニューバーの右端)に常に表示されているフィールドはヘルプだ。ここにキーワードを入力するとアドビのオンラインヘルプが参照される。マニュアルのページはLiveDocsなので、間違いや注意点などを追記すれば、ヘルプに反映されるようになり、いつでも、最新情報がチェックできるようになる。

常に出ている検索用のフィールド

ヘルプはオンラインになっており、最新情報を知ることができる

新プロジェクトパネル

Grant Skinner氏のgProjectをベースにしたプロジェクトパネルとなり、フォルダ管理ができるようになった。たとえば、あるフォルダの中にあるFlaファイルをプロジェクトに追加したいときは、フォルダの中のFlaファイルを1つずつ指定するのではなく、丸ごとフォルダを指定する。また、プロジェクトパネル自体でフォルダや新規ASファイルなどを作成・削除できるようになったので、単純に監視するだけの機能から、ファイルの管理そのものも可能となった。

Flashオーサリング中でも、そのままファイル操作が可能で、アプリケーション切り替えの手間が省ける