NASAは地球観測衛星(リモートセンシング衛星)をいくつか飛ばしているが、コストがかからなくて高いパフォーマンスを実現する衛星の実験運用も行っている。「Earth Observing-1(EO-1)」がそれだ。この人工衛星のミッションはNASAの21世紀プログラム「New Millennium Program(NMP)」の一環で、2000年11月に打ち上げられ、2002年1月にメインミッションが終了しているが、その後、延長ミッションに入っている。

EO-1には、「Advandced Land Imager(ALI)」「Hyperion」「Atomospheric Corrector(AC)」という3基の観測機器が搭載されている。そのうちのひとつ、ALIが1月9日に撮影した画像が下の写真だ。

グアテマラの北部にあるアルタ・ベラパス地方で起こった地滑りから5日後の画像。災害の生々しい爪跡が雲間からくっきり見える(赤く囲んだ部分)。サン・クリストバル・ベラパスとチカマンという2つの街をつなぐ道路の上に、容赦なく大量の土砂と岩が降り注いだ。地滑りの幅は約1.5kmだという

新しい年が始まってすぐの1月4日にグアテマラで起こった大規模な地滑りは、多くの命を奪い去った。すでに40人以上の死亡が確認されているが、生き埋めになったままの人々もまだ多くいるという。そのほとんどが近郊のコーヒー農園で働く労働者たちだ。

二次災害の恐れもあり、救出作業は残念ながら進んでいない。アルタ・ベラパス地方では2008年12月にも落石事故が起こっており、2人が死亡している。この事故を受けて当局は、今回の大災害に遭った道路も封鎖していたが、多くの労働者は気に留めるなく、バリケードを徒歩で越えて利用していたところ、地滑りに巻き込まれたと見られている。

地滑りの原因は、断層の影響とも、また、近くの大規模な道路工事の影響とも言われているが、詳細はわかっていない。