マイクロソフトは16日、東京・銀座のル テアトル銀座において、ハードウェアパートナーを対象にした「WinHEC (Windows Hardware Engineering Conference) 2008 Tokyo」を開催。2009年にも発売が見込まれるWindows 7の機能などについて説明した。

WinHECは、11月に米ロサンゼルスで開催され、その場でWindows7のコアコンポーネントやアーキテクチャー、ユーザーインタフェース、デバイスサポートのほか、今後のスケジュールなどについても説明していた。今回の日本での開催は、米国でのWinHECで行われたプログラムの中から、いくつかの主要なコンテンツを紹介する機会として用意したもので、Windows7の最新β版によるプレゼンテーションを交えて紹介した。

マイクロソフト ディベロップメント プリンシパルグループプログラムマネージャ プランニング & PCエコシステム 陣内裕輔氏

基調講演に登壇したマイクロソフト ディベロップメントのプリンシパルグループプログラムマネージャ プランニング& PCエコシステムの陣内裕輔氏は、冒頭、「Windows 7は、マイクロソフトが開発したソフトということではなく、パートナーとのエコシステムによって、多くの選択肢をユーザーに提供できるOSになる。プラットフォームである限り、PCをはじめとするハード、ソフトやサービスによって、実現できるものが多い。また、多くのフィードバックを反映して開発を進めているOSであり、Windows Vistaでの反省を踏まえて、改良を加えている」などとした。

陣内氏は、「信頼性」「パフォーマンス」「互換性」という3つの観点から、Windows7の進化を説明した。

信頼性では、Windows Vistaのクラッシュ率が発売以降減少していること、さらに、SP1をリリースして以降、急速に減少していることを示しながら、「Vistaとソースが同じであるWindows 7では、このクラッシュレートの減少をそのまま維持できる。クラッシュの約3分の1は、Windows単体によるものであり、マイクロソフトがフィックスできるが、残りはデバイスドライバ、サービス、アプリケーションとの組み合わせによって発生するもの。Windows Vistaのときには、発売のタイミングもあり、パートナーとの最終的な摺り合せをする時間がなく、それが問題を大きくした。Windows 7では、開発の早い段階からパートナーとの話し合いの時間を持ち、より強いパートナーとの関係構築を進める」とした。

パフォーマンスでは、DVD再生時のバッテリー消費時間がVistaに比べて、11.5%から15.4%改善されることを具体的なデータとして示し、「ある事例では、Vistaでは約180分の動作時間だったものを20分ほど伸ばすことができている」とした。

また、同じハードウェアを使いながらも、デバイスドライバの初期化を並列処理することなどによって、起動時間が大幅に短縮していることを示したほか、DVD再生時のCPUへの負荷が、Vistaでは16.35%だったものを12.28%に低減していることなどをデモして見せた。

互換性では、Windows Vistaに搭載したUAC(ユーザーアクセスコントロール)の機能が強く作用することで、XPで動作していたソフトがVistaでは動作しなくなるなど、互換性の観点からユーザーが使いにくいものになっていることを反省。「Vistaでの互換性の問題は、Windowsだけの問題ではなく、PC全体の問題と捉え、現在では全世界の95%のPCにおいて、正しく動作するようにドライバが用意されている。また、Windows Vistaで動作しているものはすべて、Windows 7で動作することを目標にしている。これにより、パートナーのVistaに対する開発努力を、Windows7で無駄にすることはない」とした。